第11話 希望

 私はあの後、バスから電車に乗り継いで、福井の実家に帰った。


「ただいま。」


「おかえり。」


と母が言ってくれた。母は私の目元が赤く腫れているのを見て何か聞きたそうな渋りを見せていたけれど、私はそれを躱して二階の自室に逃げていった。


時刻は22時20分 


 あの人も家についたかな。私の命を救ってくれた。とふと考えた。そんな自分を客観視して少し恥ずかしくなる。

 いや、これは心配だ。決して恋しているとかではない。と自分に言い聞かせる。


【無事家に着きましたか?お礼がしたいので空いている日にちはありますか?】

とさっきあの人と交換したLINEを早速送った。





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