第1話 はじめまして
「この終焉の竜、アルドラスの部下になれ」
は??
どうやら終焉の竜さんはトチ狂ったのかこの宮本総一郎様を部下にしたいらしい。あのしくじり話の流れでどうやったらこんな思考になるのだろうか。
いや待てよ、もしかしたら終焉の竜さん。俺の特殊能力に気づいちゃった感じ?
禍々しいオーラに負けず、聞いてみた。
「あの~大変ありがたいんですけど、そうなった決め手教えてもらえますか?」
「一目見たとき、お前はこの世界と比べ物にならないくらい魔力がすごいのを感じた。その力必ず俺の力になろうと考えてだな・・・」
選ばれたのは私でした。
あのクソ神様、雑に異世界に飛ばしたけど仕事はしっかりこなすじゃん!
これからはちゃんと敬意をこめて神様って呼ぶことにした。
しかし、そう思ってた時期も私にはありました。
「だって一ミリも魔力感じないもん。この世界の生き物は雑魚でも多少あるのに、お前に至っては全くないじゃん!スライム以下じゃん!薬草以下じゃん!」
俺はそれを聞いて沈黙を貫いた。終焉の竜さんが俺のメンタルHPにきづいたのか頑張って諭そうとする風景をただただ見ていた。愚かだ、実に愚かだ。しょうもない俺も、そんな俺を頑張って諭そうとする終焉の竜さんも。てかこいつ、キャラどうなってんだよ。
「ああ、じゃあ俺にどうしろと?」
半ば、やけくそで私は終焉の竜さんに問いた。
「捨て駒としてこれから来てもらう。」
終焉の竜さんに聞くと、これから北東にある王国『ログオン』の王女、リサという女性を拉致するところだったらしい。その国にはかつて世界を救った勇者の仲間の友達のいとこの子供である4人の守護騎士がいるらしく、そいつらがかなりの強者で王女をさらうのに手間が焼けるらしい。
「そこでお前がその4人を死んででも食い止めろ、その間に王女をさらう」
「嫌です・・・と言ったら?」
「嫌ならここで殺すけど」
ん~詰みました。
いやまてよ、まだだ!まだ終わっていない!
終焉の竜さんでさえ手こずる相手だ。俺の話を聞いてくれればワンチャン仲間になって助けてくれるんじゃないか?
俺っていいセンスだ。こんな身体的にも精神的にも絶望的な状況でよく精密な判断ができた。俺は高鳴る鼓動を抑え、この交渉を受けることにした。
「ああ、わかった引き受けよう」
人生何が起こるかわからない、前世も、ガチャも、この異世界も。前世はそんな人生に翻弄され、挙句の果てに死んでしまった。しかしこの宮本総一郎、2度目はない。もう俺は死なない。
「わかった。ではともに行こう、我が捨て駒、えーっと」
「宮本総一郎、宮本でいい(泣)」
「ふむ、では俺のことはアルドラスと呼べ宮本よ」
そういうと終焉の竜、いやアルドラスはその大きな翼を広げた。火の粉が飛び散る中アルドラスは俺を口の中に入れやがった。あったかくて生臭い。気分は相変わらず最悪だ。
こうして俺たち一行はリサ王女が統治する王国、『ログオン』へと飛び立った。
異世界に無能はいらない件について VAN @loldob
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