第17話 ダンジョン

ダンジョンが俺の想像する通りなら、今後できることが格段に増える。俺の考えている通りのダンジョンかと聞くと、一部がそうだと返答された。


「本来ダンジョンを管理することなどできん。儂はダンジョンコアと呼ばれるダンジョンを形成している核を魂の依代とすることで、ダンジョンを操るスキルを得ることが出来た。ただの偶然だ普通のダンジョンだと魔物がコアを守っていることの方が多い。知能がある訳でもなく無意識下で守ることとなっておる」


「なるほどなぁ。やっぱラノベ読んでるだけじゃ理にかなってないことの方が多いのか」


ラノベの知識がファンタジーの世界でここまで役になったことも驚きだが、その一つ一つに理由があったことにも驚きだ。


「ならダンジョンの力を使ってなんかやってくれ」


「それは無理だ。儂は1度死んだことになっておるから、ダンジョンの力は儂が認めたお主に渡っておる。それに今の儂は召喚獣。過ぎたる力は持てんよ」


「そうか、なら使ってみるか」


俺は先程のようにメニューを開き、収納の中身を再度覗く。その中にはダイヤモンドやルビーといった元の世界でも有名な宝石もあれば、スカイエスやアースイー、シーエスといった聞いた事ないものまで入っている。後はドラゴンの魔石やら鱗や肝やらと全然詳しくない俺でも見てわかる程大量に入っていた。残りは金かな。古代金貨と書かれてある。何が違うんだ?


『金の含有量が違います。今の硬貨はどれも含有量が50%ですが、古代の硬貨は100%です。ですので取引所に持っていけば同じ硬貨2枚と交換して貰えます』


やっぱ昔は素材の宝庫だったのはどの国、どの世界でも変わらないのか。にしてもすごい量だな。いち、じゅう、ひゃく、せん、まん、じゅうまん、ひゃくまん、せんまん、いちおく、10億!?


「金貨だけでも10億枚あるぞ!?」


「クックック、それは王宮から儂が持ち出した物じゃ。大臣どもが儂の稼いだ金を予算として使おう押したからな」


「······そういうのを泥棒って言うんじゃないのか?」


俺は疑惑の目をたっぷり乗せて言った


「違うわい!これは儂がドラゴンやらを売って稼いだ儂の金じゃ!!」


「はいはい、分かった分かった。そんなに伝えてくるな。んで次だな。階層の中身って何だ?」


俺は普通にタップしてみると、


「うわっ!」


まるで未来のホログラムを見ているかのような透き通った青で表されたこのダンジョンの形。先程は歩いただけでよく分からなかったが、この城のようなダンジョンは2階で部屋数もかなりある。


「なぁ、ダンジョンを組みかえてもいいか?」


「良いが、少し待ってくれ」


そう言った後に先程までたっていた白石が消えて冷たい暗い色をした地面が現れる。


「今、何をしたんだ?」


「白石を収納しただけだ。そこまですごいことをした訳では無い。お主でもできるだろう?」


「やった事がないから分からないな」


俺はダンジョンの形を変える。すると画面が現れ


【階層をついかするにはDP《ダンジョンポイント》を1000使用します。よろしいですか?

YES or NO】


DP《ダンジョンポイント》か。急にファンタジー溢れる言葉だな。どうやって集めるんだ?


『DP《ダンジョンポイント》の集め方は中に入ってきたが使う魔法の魔力を吸収し、それをDP《ダンジョンポイント》に変換したり、死体などからも変換ができます。ダンジョン内では死体が残らないので、殺人現場などにもよく用いられますね』


ざまぁ系ありがちのダンジョン内でのパーティー追放か。死体を残すより、残さない方が説明も楽だしな。

んで、今のDP《ダンジョンポイント》が······1200!?あんまり溜まってないな。でも1つ階層が作れれば問題なしだな。さっきの画面でYESを押して増設すると、それに伴って青いホログラムも増設される。


「早速下に降りるか、着いてくるか······グロウェンでいいか?」


「構わんよ。では儂はご主人とでも呼ぼうか」


「いや、リューヤとそのまま呼んでくれ」


ご主人ってのはいずれ雇うであろう奴隷の中の暗殺者っぽい子に呼んでもらいたい。ご主人様はメイドさんね。絶対に!


俺はいつの間にかあった階段を下に降りる。そこでは上と同じようないかにもダンジョンな床があった。


「これは設定で変えられるのか?」


「これは階層を増設する度にこの形と色になる。形と色はDP《ダンジョンポイント》を消費せずに変更できるが、罠や魔物の設置はDP《ダンジョンポイント》を消費する。勿論、種類によって使うDP《ダンジョンポイント》は異なるがな」


「なるほど。なら出した魔物が外の魔物と同じように進化することはあるのか?」


「ふむ、そのようなこと考えたこともなかったな。もしかするとあるかもしれんな」


「召喚した魔物はどうなる?俺の眷属になるのか?それとも召喚獣扱いか?」


「分からんのぅ。儂も魔物を召喚したことは無い。そもそもこのダンジョンの機能なんて収納機能しか使ってなかったしな」


エリィ


『ダンジョンによって生成された魔物は進化します。しかしダンジョンの外に出るにはある程度のが必要になります』


それが所謂、中ボス《フロアボス》ってやつか。そういや単純な疑問なんだけど、ラノベでありがちな変異種ってのはいるのか?もし居たとするならばダンジョンで生成可能か?


『いますね。ダンジョンでも生成することは可能ですが、変異種を狙って生成することはできません。変異種とはいわば先祖返りのようなものです。これまで先祖が食してきたものや交わったもの、またはこれまで積んだ経験などの影響などを受けて生まれます。ですのでダンジョンで生成する場合、変異種がなのかが分かりません』


そうか······色々あるんだな。魔物の進化条件はあるか?


『魔物は他の生物と違って生き物を殺さずとも、それなりの修練を積めばレベルを上げることができます。そのレベルがある程度に達すると進化します。進化にも様々な方向があり、それも経験によって変化します。それは個人の資質にもよりますね』


いよいよ人間みたいになってるな。いや、人間だけが特別って訳でもないんだから、それは意識が高すぎたな。


とりあえず武器を持って戦えるゴブリンとかがいいな。俺が命令すれば嫌なこともしないだろ。


『ダンジョンで生成された魔物には性欲などの無駄な欲求は無くなります。ただ現れた侵入者を殺す。その意識が始め植え付けられます。ですがマスターが命令を上書きすることによって変更が可能です』


てことは考えてる嫌な事態にならないってことか。それは便利だな。ならゴブリンを出せるだけ出してみるか。今余ってるDP《ダンジョンポイント》は200。ゴブリンは1匹で10DP《ダンジョンポイント》を使うのか。なら限界の20匹でいいか


俺はゴブリンを20匹生成する。すると配置を決めることが出来たので、この階層の俺らの目の前にすることにした。


「グギャギャ」


ゴブリンが20匹現れた。森での出来事ならこのまま俺らのことを襲ってくるだろうが、むしろこいつらは跪いている。


「ふむ、リューヤのことを主として認めているようだな。儂のこともそのように見ている」


「分かるのか?」


「何となく、だがな」


俺は少し考えてから


「立て」


と命令する。すると俺の言葉が分かっているかのようにゴブリンはその場で立つ。


「ほう、言葉を理解するか」


俺は更に考えてから、1つの妙案を思いつく。俺は21本の竹刀を創り出す。ちなみにひとつあたりの消費魔力は50だ。1050も消費したが魔力酔いは発生しなかった。


「これを持て。グロウェンも持ってくれ」


「グギャ」


「了解した」


そして1人(1匹)1本持たせたところで


「ゴブリンに命じる。今から訓練を行う。繰り返す今から


「訓練、とな?」


「ああ、こいつらは力を持たない一般人よりちょっと力が強い程度でしかない。それは訓練をせず、食っちゃ寝を繰り返しているからだ。今から訓練を行い、個人の力を身につけさせる。グロウェン、剣は使えるか?」


「当たり前だ」


「ならばしばらくここでゴブリンらに剣を教えろ。無論、正規の騎士団のように走る。だがその程度で停滞してもらったら困る。俺が望むのは最強の部隊だ。その名を聞くだけで泣く子も黙るような部隊だ。グロウェン、伝わったな?」


「おお、それはよいな。儂も考えたこと無かったわ。いいだろう。教えるのは初めてだが、儂の技で良ければ教えよう」


「俺には色々とやることがあるからずっとみている訳にもいかない。そういや食料は必要か?」


「ううむ、ダンジョンの魔物が飲食をしている姿を見たことがないからな。詳しいことは分からん」


エリィ


『ダンジョンの魔物は飲食は必要ありません。ですがを満たせば飲食が必要になります』


その条件は気になるが、今は必要ないんだよな?


『はい』


なら今は聞かなくていいか。エリィが勿体ぶったってことは何かあるんだろうな。


「ゴブリンらはグロウェンの命令に従って行動しろ。反抗することは許さん。わがままを言うことも許さん。黙ってグロウェンの言うことを聞け」


これがもし現代社会であったとしたら即行で訴えられるな。だが異世界だ。相手は人間じゃない。飲食が必要ないんだ。問題は一切ないな、うん。





✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭

すみません。テスト期間に入ってしまったので、しばらく投稿を休止します。テストが終わる11月19日(金)から再開します。

まだ転移してから3日の出来事ですが、大分濃い一日を送っているようで。次回でようやく街に戻ります。自分でも大分ゆったり書いているのは自覚があるので、魔王を他の勇者が討伐するのは一体いつになることやら自分でも分かりません(笑)。それまで気長に読んでくださると助かります。未だに主人公の裏設定が定まってないので、結構グダグダですが見逃していだければ············と、思います。今後ともよろしくお願いします









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