第16話 古代帝国皇帝エレ・グロウェン

俺は声がした方を見る。しかしそちらには骨しかない。気のせいか?


『気のせいではないぞ』


やはり聞こえる。エリィでもアリスでもない声だ。やはり目の前の骨が出してる声なのか?


『その通りだ。その前にこのまま話すのは失礼だろうな。お主の持つ魔力を分けてもらえないか?』


それでどうなる?


『ただ儂が骨だけの存在から動けるようになるだけだ』


それだけならいいか。魔力支配で直接渡すぞ?


『無論だ』


俺は魔力支配を使って魔力を渡す。おれは意地悪して本当に少ししか分けなかったのに、相手は光出して骨として動き出す。


「ありがたい」


「それでお前は誰なんだ?一応ここは古代帝国の遺跡というのは分かってる」


「古代帝国?それが今の帝国の呼び名なのか?」


「その通りだ。現在も帝国という名の国があるから、それと区別するために古代帝国という名前になっている」


「そうか。少し不愉快だな。我の国を冒涜されているようだ」


「そういや、挨拶もまだだったな。俺の名前は柳也、リューヤと呼んでくれ」


「儂も名乗ろう。儂はエレ・グロウェン。お主らの言葉で言うなら古代帝国の初代皇帝だ」


「は?どんだけ前のことだと思ってるんだ?なんで生きてんだよ」


「何を言っておる。儂は死んでいるだろう?今の儂はただの魂だけの存在。お主の魔力により体を動かせるようになっているだけに過ぎん」


「ならどうやって魂をだけで生きてるんだ?」


「それを教える訳にはいかん。例え久しぶりの話し相手だとしてもだ」


俺は少し圧をかけてみるが、相手は動じない。


「ふむ、中々やるな。五将に入れるかどうかと言うくらいか。それにまだ若く伸び代もある」


「その五将ってのは古代帝国の将軍みたいな扱いで、一応褒めて貰えてると受け取るが、何故教えてくれない?」


「これは帝国でも知っていたのは儂しかおらん。理由は理解するには全ての概念を破壊し、真っ白な脳に刻み込む必要があることと、この秘術がものすごく危険であるからだ。お主のような有望な若者にさせる訳にはいかん。神様からも止められているし」


「それを最初から言え。神様に止められてるなら禁忌扱いか。ならいいや。それでなんでそんなことしてまで生きてるんだ?」


「それは死んだところで暇だからだ」


「······は?」


「お主は死後の世界に行ったことはあるか?儂は一回だけあるぞ。その世界ではただその場に留まってぼーっと自分が新しく生を受けるまでそうしているのだ。暇だったので例え死んでも死後の世界に行かないようにここで生き長らえているというわけだ」


「意外と単調な理由なんだな」


「死んだらこれまで積上げてきたものは全て通じない。そうなったら自分の意思とそれを叶えるだけの自分の力だけだ」


「死後の話は分からんが、その話には同意だ。権力や勉強も結局のところ暴力の前では全てが無に等しい。暴力の延長線または代用でしかないからな」


「そうだな。さてと、そろそろ本題に入ろう。この場を見つけたお主にこの空間の全てを与えよう」


「と言ってもこの空間はこの部屋しか無かったぞ」


「住んでいたのは儂1人だったからな。この部屋があればこと足りる。気づいているかは分からんが、この異空間はダンジョンを元に儂が制作した。ダンジョンの機能に収納機能がある。この部屋にある物の全てを収納出来る」


「なんだ?もうそろそろ死にそうな顔をして。遺言のつもりか?」


「そうだな。儂も魂だけの存在になったがその魂もむき出しの状態であれば磨り減っていく。このままだともうすぐ消えるだろう」


「そうなのか!?まだ全然大丈夫な顔してるけど」


「骨の顔に何を見ているのか。お主との会話もこれで終わりだと思うと悲しいのぅ」


そう言って悲しそうな顔をする。骨だから分からんが、多分そうだろう。


「儂も最後にお主のような存在に会えて良かったわい。それではのぅ···儂は天国から···見守って···お···る······よ······」


そのまま骨は動かなくなってしまった。


『マスターこの異空間の所有権がマスターに移りました。マスターにダンジョンメニューの閲覧が許可されました』


俺はダンジョンメニューとやらを開くとDP《ダンジョンポイント》、階層の中身、収納の中身が見れた。


収納の中身は色々なものが入っている宝石類などの高価な物がメインだ。色々素材もあるし。


本来の物語ならここでこの遺跡を受け継いで「ありがとう、このことは一生忘れないよ」で終わるだろう。だが生憎俺はバッドエンドが大っ嫌いだ。


「神様、聞いてるか!ここからで申し訳ないが、俺は願いを使わせてもらう。古代帝国初代皇帝エレ・グロウェンの蘇生だ!」


『蘇生は不可能です。ですが別の器を作り転生という形なら可能です』


声は俺がいつも話している神様の声ではない。感情の入ってない声だ。別の器?


『人間などの人種の器を作るのは世界の理があるので出来ませんが、異形の生物として転生させることは可能です』


異形の生物?魔物ということか?


『そうです』


魔物······人種の魔物を選べるか?そういう方が本人も動きやすいだろう。


『注文が多いけど仕方ない。明確な種類は?人種で魔物となれば死者アンデッドが中心となる』


出来ればその中での最上位種はないか?


死者アンデッドの最上位種?なら吸血鬼ヴァンパイアの真祖、リッチエンペラー、デスカイザー、だと思う』


それぞれの特徴は?


吸血鬼ヴァンパイアの真祖は日光の弱点も克服して弱体化のない種族。血を吸うことで配下を、血を与えることで眷属を作ることが出来る。リッチエンペラーは魔法に特化した種族でデスカイザーは武器攻撃に特化した種族です』


ところで、魔物が俺の近くにいても違和感ないか?


『あります。大問題です。ですがテイマーとなれば別です。でもあなたが転職できないのも知ってるから、特別に神実かんじつを落とすからそれを食べて。レベルが強制的に上がる。上がれば第二職業が定められるようになるから、そこでテイマーを取得して』


目の前にりんごのような形をした真っ白なものが落ちてきた。りんごを食べた記憶があるせいで、イメージがごちゃごちゃだ。だが言われた通りにするしかないので、りんごもどきを食べる。


『食べてる間に説明する。今回は[]があるし特別に吸血鬼ヴァンパイア祖にして上げる。ちゃんと記憶も残ってるし、意思だってあるそれでテイマーは取得できた?』


出来たよ。


『あなたの召喚獣扱いで出すからね。召喚獣なら人型なのは分かってもらえる。だからそちらに召喚するね。今回のはかなり高く着くよ?』


そう言って神様との連絡が途絶える。その後目の前の骨が質感を持つ体に変わる。


「ふむ、本当のことだったのだな。あの神様の言うことは。お主、神様に頼み事とは随分豪勢だな。それを儂に使うなど勿体ないことを」


「そうでも無いさ。過去のことが知れるならそれだけでも助けになるし、さっきの話振り中々に強いだろ。今は魔物にはなっているけど、相当に強化されているはずだ」


「そうだな。久しぶりの体だからか物凄く興奮している」


「それは良かったな。んじゃ、ダンジョンの所有権を返すよ」


「その必要は無い。儂はお主の配下だ。配下のものは主のもの。儂に返す必要は無い」


「そうか。なら、ダンジョンのことを教えてくれ。色んなことに使えそうだからな」


『マスター······』


エリィを捨てた訳では無いぞ。ただせっかく本人が前にいるから使った感想と共に聞きたいと思ったからな

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