第15話 ゴブリン戦でのドタバタ劇
さてと、会話も終わった事だし、ウルフを狩ろうか。
『マスター達が話している間、暇だったのでウルフを10匹狩って解体しておきました』
気づかなかったが前方にはウルフの素材がパーツごとに仕分けされている。よく見れば血抜きまでされていて完璧な倒し方と言えるだろう。そう言えば魔物を殺しても特に変な感情は抱かなかいんだな。それがラノベあるあるなのに。いや、最近はスキルとか使って耐える例が多いかもな。
『マスター、なので次はゴブリンの方に行きましょう』
了解した。ゴブリンはどっちにいる?
『ゴブリンはここからだと少し歩きますが、マスターの成長したステータスなら大丈夫でしょう。歩いているうちに慣れてくださいね』
そうだった。エリィが倒したことにより、更にレベルが上がって体のコントロールがさらに難しくなったんだ。俺は移動だけに四苦八苦しながら何とか進む。
『前方にゴブリンがいます。剣と盾持ちが2、斧が1、ゴブリンリーダーもいますね』
そのゴブリンリーダーというのは?
『ゴブリン種の上位種です。ゴブリンの1つ上ですね。ただのゴブリンを率いて偵察などを行わされることが多いです』
偵察ってことは直に攻められるってことか?
『はい、先に言いますとここのゴブリンはトップがゴブリンキングです。その下にはゴブリンジェネラル、ゴブリンクイーンがいて、ゴブリンウォーリアーやゴブリンウィザード、ゴブリンプリーストなどがいます』
なるほど。数で表すと?
『約500ですね。苗床となる女性の確保があまり出来なかったのかゴブリンキングがいる
やっぱりゴブリンは人の女性を襲うのか?
『そうですね。オークもコボルトもオーガもそうですね。彼らの名誉のために言うならそれらの種族には女が産まれず産まれたとしてもかなりの上位種となるためゴブリンを産むことができません。種族の繁栄を目指すのなら他種族の雌を攫うしかないのです』
まぁ、魔物が必要なのはさっき嫌でも理解したし、俺もそれに納得した側だ。エリィは神様みたいな平等な目線で見ないといけないからそういうことになるのも分かる。俺もそれは分かるが、やっぱり人間として当てはめると強姦としか感じられない。生かしておくことで今後別の人が被害に会うのは嫌だし、そんなことがあったら夢で祟られそうだ。
俺は気配を感じ取り腰からアリスを抜く。いけるか、アリス?
『馬鹿にしないでよね。ゴブリンくらい余裕なんだから』
そいつは頼もしい言葉だ。俺はゴブリンを誘い出すためそのまま直進する。
「グギッ!ギャググ!」
「せっかくの潜伏なのになんで声出して出てくるかなぁ?」
俺が歩いていると奇襲をかける訳でもなく素直に目の前に姿を現す全てのゴブリン
「頭を使えないのか?それとも今まで全てがそれで通用して来たのか」
堂々と姿を現すゴブリンに呆れてしまう。遠距離攻撃がいないので俺に近づいてくるゴブリン。せっかくだし、魔力支配でも使うか。俺はゴブリンの体内にある魔力の動きを抑え、全てを体の中で自由に回す。
「グ、グゲェ、グギャギャ······」
ゴブリンは血を吐いて死んだ。流石魔力を放出する魔物だ。魔力が使えなければ意味ないな。これって最強か?
『高位の魔物であれば魔力の操作が上手なためそう簡単に操作できないと思われます』
そりゃそうか。人生はイージーゲームじゃないんだ。なんでもワンパターンで成功したら面白くない。そのまま残りのゴブリンを同じような方法で殺してからエリィの指導の元、解体の練習を始める。
『ゴブリンからは魔石しか取れません。魔石は魔物が誰しも持っている魔力の塊です。魔道具などに加工できるので、売ることもできます』
魔道具かぁ。色々作れそうだな。
『魔道具などの特殊な道具は職業が無ければ作ることはとても難しいです。同じように作ったとしても、同じように動かないからです』
職業の力は偉大だなぁ。よし、解体も終わったし、ゴブリンの
道中何度かゴブリンとの邂逅をしながらも、俺とエリィのなんちゃって連携なども練習しながら歩いて来た
『ここがゴブリンの
中に人はいるか?
『はい、いるのは案の定女性ばかりですね。それに既に苗床として使われており、皆精神が壊れています』
······そうか。なら楽に殺すのが一番だな。彼女らもそれを望んでいるのか?
『はい、それに魔物に襲われた者は忌み嫌われて過ごします。例え生き残ってもこの先生きるのが辛いだけです』
そうか······そういうのも差別の原因なのか。だが、これがこの世界の文化なら俺も染まるしかないのだろうか······ッ!
『マスター、どうしますか?』
ここは手荒な真似はせずにひと思いに殺すべきだ。だが自分勝手だが今の俺だと正常な判断を下せる自信が無い。だから手っ取り早くゴブリンを殺させてもらう
『手っ取り早く、ですか?』
俺はゴブリンの
呼吸が切れるまで待つことになるから楽に殺すことは出来ないが、せめてもの手向けだ。来世に幸福があるように祈っている。
そしてしばらく待っていると
『マスター、中の生命反応が無くなりました』
そうか。ところでこの燃えている木はどうしようか?
『マスターはまだ魔法が使えないので、魔力を1点にためて吹き飛ばすだけでも風が生じて、日が消えるかと』
そんなことが出来るのか?まぁ、物は試しだな。どのくらいが適正か分からないので、ある程度魔力をためてそれを火の方向に大砲のようにして飛ばす。
『マスター!魔力のこめ過ぎです!』
え?そう言わるても時すでにお寿司、いや遅し。そのまま魔力の大砲は火がついた木を木っ端微塵に破壊し、洞窟を奥まで貫通させる。奥までの道のりが1本に纏まってしまった······。
『マスター、明らかなやり過ぎですね』
ああ、だが俺の消耗はない。これは集める魔力を少なくしても使えるな。今ので魔物の死体が吹き飛んでないといいんだが······。
『マスター、そこに隠し部屋があります』
ゴブリンの
『はい、ゴブリンでは作ることは出来ません』
そうか。てことはお宝だな。罠はあるか?
『いえ、ありませんね』
よしっ!お宝、お宝〜♪
俺がエリィに言われた場所を直進して中に入ると、中は先程までのThe洞くつという雰囲気からまるで城のような綺麗な大理石の地面が現れた。
『マスター、これは古代帝国の遺跡だと思われます』
古代帝国?
『はい、かつて世界を統一した今よりも全てにおいて優れていた国です。今の帝国と分けるために古代帝国と呼ばれています。古代帝国の遺跡には今の文明では作れないものや知られていない知識があるので、遺品を売れば場合によっては金貨数十枚になったりします』
それはすごい。なら隅々まで探索しよう。今いるのは城に入ってすぐのような景色で、左右にも廊下があり、目の前には大きな階段が見えていて、その横にも扉が見えている。これは探索しているだけでも時間がつきそうだな。
『いえ、マスターこの部屋には特殊な魔法がかかっています。恐らくですがここは時空魔法により作られた異空間です。ですので外との時間がズレていますので、注意が必要です』
そうなのか?どうなっているか分かるか?
『すみません、恐らく何処かに書いてあると思います』
そうか。最近はエリィに頼ってばっかだったし、自分から探すのも楽しみだな。さて、洞窟探索から異空間探索に変わったけど楽しむかぁ!
まず、この異空間は異空間と現実の時間の経過の比率が1:10。この部屋での10時間は現実での1時間になるということだ。
そしてこの城の材質は現在では貴重である
ここは城をかたどっただけで、特に家具は置いていなかった。カーペットもないし玉座もない。だがそれっぽい部屋はある。なんだか不気味だ。
そして最後の部屋は書斎らしき部屋だった。その部屋にのみ家具があり、書斎の椅子の上には白骨死体がありこちらを向いているようにも見える。
『やっと······来たか』
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