第5話 話し合い

俺が案内された部屋はまるでホテルのような部屋だった。ベッドは中々大きく、一人で寝ていても余るくらい。机や椅子もある。そして化粧台みたいなのもあった。そこには鏡が設置されていて、


「ん?なんか変じゃねぇか?」


俺は鏡に映った自分の顔、主に髪の毛をジロジロと見つめる。俺が気に入っている真っ黒の髪の毛がその色が薄く感じるのだ。


「これは······気のせいなのか?」


「失礼致します。陛下より勇者リューヤ様のを仰せつかりました。メイドのエミィと申します」


俺のところにはエミィと呼ばれるのメイドが来た!すげぇ!ケモ耳だ!


「失礼を承知で聞くが、エミィさんはなんの獣人だ?」


「リューヤ様が私に敬語を使う必要はありません。私は狐の獣人です」


わぁ!すげぇや!尻尾もある!めっちゃ触りてぇ!

いや、それは失礼だな。初対面だし。


「コホン、頼みたいことがある。同じく勇者の蓮と凛と唯をこの部屋に呼んでくれないか?」


「分かりました。少々お待ちください」


そう言ってエミィは外に出た。3人を連れてくるまでの間俺はこの部屋の探索を続けたいと思う。


机の中には当然何も入ってなかった。椅子の座り心地もお世辞にも良いとは言えない。木の削り方が荒いのか?


この部屋はワンルームなので探索のしがいがない。ていうかそもそも、ここも城の部屋の一室だったの忘れてた。


確かに掃除は行き届いて、丁寧に扱われているのは分かる。でも家具の質が悪いな。日本で暮らしていたせいで尚更そう思える。これでもこの世界じゃ最高品質の品なのか、それとも粗悪品を売られているのに気づかないのか。もしくは俺らが舐められているのかだな。


でもあの国王からして最後のはないだろうし、2番目もないだろうな。上手く行けばこれだけでも大儲けだな。


───コンコンコン


「失礼します。リューヤ様、同じく勇者であるレン様、リン様、ユイ様をお連れしました」


「分かった、中に入れてくれ」


そしてエミィが扉を開けて3人を中に入れる。そしてエミィと見知らぬ3人が入ってくる


「その3人は、この3人のメイドさんかな?」


「はい。陛下より「リューヤの行動には基本制限を設けん。設けたところで意味をなさぬだろうからな。だがこれは信頼しているということだ。リューヤなら忘れぬだろう」です」


「了解、んで4人が中にいるってことは俺らの会話を王様に密告するってことでいい?」


「っ、いえ、そのようなつもりでは「はい、そのように言われてます」エミィ!?」


他のメイドが否定しようとするが、エミィが本当のことを言う。


「リューヤ様は全て分かっています。だからこそ事情を聞いてくれてるのです」


へぇ、エミィは意外と頭が回るのか。獣人はみんながみんな脳筋じゃないのね。


「ま、いいよ。王様に対して叛逆しよう!なんてこと話さないし。問題発言はするつもりはないからね」


俺は3人の方に体を向けて


「さてと、まずは職業とスキルの確認だな。俺は職業は勇者で、スキルは聖剣術、四属性魔法、成長率10倍、アイテムボックスだな」


「俺の職業は剣聖、スキルは剣術、剣聖術、成長率10倍、アイテムボックスだな」


「私の職業は賢者、スキルは全属性魔法、古代魔法、成長率10倍、アイテムボックス」


「わ、私の職業は聖女です。スキルは回復魔法と治癒術、成長率10倍、アイテムボックスです」


「おお、有名どころが集まったな。しかもバランスがいいな。で、成長率10倍とアイテムボックスは共通と」


「そういや、リューヤはもう1個あるって······」


俺は無言で首を横に振る。それだけで蓮には伝わったようで、言葉を止める。それは切り札になり得る存在だし、持ってることで優位に立てるかもしれない。


「まずこの4人でパーティを組むこと自体はOKだな?」


俺がそう聞くと全員が頷く。


「んで編成は蓮がゴリゴリの前衛。俺は基本前に出るけど状況に応じて行動を変える中衛、凛と唯が後衛だな」


「それぞれの得意分野で戦うとそうなるな。だとしたらタンクが欲しくならないか?」


「それを言うなら斥候もだな。現地で人を雇うか、それとも同じ勇者から引き抜くかだな」


「俺は同じ勇者から引き抜いた方がいいと思うぜ。言っちゃ悪いがこの世界の人だとそこが知れてる。例え1番強かったとしてもいずれ限界は来るからな」


「まぁ、そっちの方が妥当っちゃ妥当だな。でも実力的に俺らがまだまだ未熟ってのもある。そこら辺は実践練習を経てから考えるべきだな」


「柳也は何か考えてるの?」


「現状はこの世界についての知識が足りない。だから判断が出来ないな。でも俺だけ外出許可を貰ってるってのは大きなアドバンテージだ。いずれ俺らは旅に出ることになるだろう。それまでに武器、防具、道具とか色々必要になるからそのための金を稼いでおきたい」


「その考えには賛成。でもどうやって稼ぐの?」


「単純に商売がいいだろうな。出来れば俺らでは無いと作れないのを作りたい。だからオセロことリバーシとか色々必要になるからチェスとかはダメだな。特許制度があるならいいかもしれないな」


「あ、あの、その作ったものの権利を売るのはダメですか?」


「権利を売るなら特許制度が確立されてる必要があるな。それに1度で大量のお金が手に入るが、俺の見立てだと絶対に買われる以上のお金は手に入る」


「でもそういうスキルは持ってないんだろ?」


「ああ、でも見た感じ家具は日本よりも劣っているように見える。だからそこから稼ぐのもありだと思うんだがな」


「どうせなら日本にあるものを持ってこれるようなスキルがあればな」


「そんなの夢物語だろ」


「でも神様がこんなに身近にいるのだから、もしかしたら叶えてくれるかもよ」


「そうか、なら全員で神様に願うか。なぁ、この世界の主神はなんて言うんだ?」


「女神イズウェル様です」


「女神イズウェル様、日本の物を作れるスキルをください」


俺がそう願っているとほかの3人も各々願っているようだ。


「さてと、話を変えるぞ。ここからは俺の予想になるが、これからは先生の立場は意味が無くなる。恐らくだが学校内でも力関係を表すまたはができるだろうな。授かった力の強い生徒の元に集まるだろう。1つは生徒会長だな。水晶を触った後に露骨にいやらしい顔をしてた」


生徒会長は水晶に触った後の表情があからさまにおかしいのだ。丸で世界の帝王になったかのように······それは言い過ぎか。


「もう1つは恐らくだが副会長だな」


生徒会副会長の名前は姫野ひめの 静流しずる。一時期は生徒会長と付き合っているという噂が流れていたが、副会長の態度によりその噂は否定された。


「何でだ?亮平センパイはあからさまで俺でも分かったが、静流センパイも?」


「ああ、恐らくな。お前らも見ただろ?転移前取得スキルって項目を。あれがあるだけでもかなり有利になる。例え副会長が弱かったとしても神輿として担ぎ上げるのに副会長程適任はいない。それでもう1つは先生サイドから出る


「かも?明言はできないの?」


「先生側の情報が少ないからな。まぁ、流石に主事さんとかから超強力なスキル持ちが出ないとは思うけど、確率はゼロではないからな。何かしらスキルに法則が生まれればな。これを派閥で表すなら、生徒会長派閥、副会長派閥、教師派閥とでも表そうか」


「あれ、でも勇者のスキルを持ってるお前の派閥は?」


「俺?派閥なんて面倒なもん作りたくねぇよ。そんなことより今はこの世界でどう生きてくかだな」


「あ、あの、話は逸れるんだけど、その派閥に所属する人はどんな人だと思う?」


「教師派閥なんて言ったからそこには教師が入るなんて考えちゃいそうだな。生徒会長派閥に入るのは幅を効かせたい奴らじゃないか?副会長派閥に入るのは心優しい人、もしくは女子生徒が多そうだな。あるかもしれない教師派閥は教師と後は激化するであろう両者の対立に入りたくないいわば中立派だな」


「そう考えるとラノベの貴族みたいだな。王族派とか貴族派とかの。てかなんで激化するって分かるんだ?」


「蓮さん、柳也が言いたいのは暴虐無人の会長の品行方正の副会長の争いですよ」


「極端な話そうだな。そこに教師派閥があれば抑止力として働くんだが」


「何でだ······いや、やっぱ言わなくていい、自力で考える」


「そうか、長そうだな」


蓮が一人で唸っている間俺らはどうやってお金を稼ぐか話し合っていた。


「あ、分かったぞ!」


「おお、それで?」


「3つの派閥ってところで分かったんだ。これは正しく三国志だな!」


「当たらずとも遠からずだな。説明になってねぇ。その三国志の例を取って説明すると、魏、呉、蜀のうち蜀が魏に攻めたとする。そしたら魏は防衛するよな?そしたら蜀は手薄になるからそこを呉が攻めとるってことだ。だからどの派閥も迂闊には動けない。でもこれは教師派閥が2つの派閥にとってある程度の脅威にならないと意味が無いことだけどな」


「会話中失礼します。昼食の準備が出来ましたので、食堂までご案内します」


「もうそんな時間か。昼食を取ったあとにでも続きを話そうな」


そう言って俺らはエミィについて行く。




✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭


言い忘れてましたが、この小説は基本00:00に予約投稿をしています。時間に関しては分かりやすいからという理由ですので、教えて頂ければ変えます。

そして基本は3000字以上を目安に執筆しています。量に関しても同様に教えて頂ければ変えます。読者様が読んで頂いているのが励みになっています。これからもよろしくお願いします









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る