第3話 隠された力

「誰が本物の勇者だぁ?」


俺は女騎士の後ろで隠れて言ってることの意味が分からん。


俺は女騎士の剣を鑑定しようとするも、出来なかった。単純にレベルが足りないのかスキルの位が足りないのか、それとも相手の武器の質がいいのか。


「んなことよりもお前何もんだ?俺の剣を弾くなんて中々やるじゃねぇか」


「申し遅れた。私の名前はルベア・リザルト。栄誉ある竜宮騎士団の団長を務めている」


「はいはい、そりゃご苦労さん、俺は皇 柳也。なんかこの世界での名前を決めなきゃいけないみたいらしいから、リューヤとでも呼んでくれや。それよりもお前さっきまであの中にいなかったよな。いつ来た?」


「よく分かったな。私はつい先程任務を終えて到着したところだ」


「へぇ、かなり強いな。それにこの剣を受け止めるなんて中々いい剣じゃないか?」


「おお、この剣の価値が分かるか!これは陛下から頂いたものでな。名前は桜華剣と言うんだ。この国の国宝のひとつで、スキルが付与されているんだ」


「ルベア、話しすぎだ。それは守秘義務のはずだが?」


「あ、そ、そうでしたね。こ、コホン。それよりリューヤもいい剣を使っているな。銘はなんと言うんだ?」


「そういやそうだな。お前なんて言うんだ?」


『私の名前エクスカリバーよ』


「エクスカリバー?なんかダサくね?」


「『なぁ!?』」


「エクスカリバーと言えば初代勇者が仲間達と精錬した伝説の剣だぞ!その名前をダサいなどと!」


『そうよ!エクスカリバーってテツオが名付けてくれたんだから!』


初代勇者の名前はテツオって言うのか。


「だって聞こえてくる声は女なのに名前がエクスカリバーってゴツすぎだろ。もっと女の子らしい名前がいいだろ。······んー、アニメっ子からしたらダーク○パルサーとかが憧れるけどなぁ。うん、アリスにしよう!君はエクスカリバーじゃなくてアリスね」


『あ、アリス!?た、確かにエクスカリバーはかっこいいとは思うけど、私だって女の子だし?女の子っぽい名前がいいなとは思ったけど』


「何!?リューヤは剣の声が聞こえるのか!?どうやって聞くんだ!?」


漆器まで離れた場所で剣を構えてたはずのルベアが、ものすごい速さで俺に近づいてきた。


「うおっ!」


「本当に剣の声が聞こえるのか!」


そう言って俺の剣に触ろうとしたが、アリスに触れた途端に弾かれていた。


「な、何故だ。まさか剣に意思があるとでも」


『ふん!私に触れるのは真の勇者の器を持った人だけなんだから!』


まぁ、そんなことはどうでも良くて。


「ところで、なんで俺の攻撃を止めた?」


「仲間を殺させる訳にはいかないからな」


「そいつが最初に俺にとってケンカを売ったのにか?」


「例え落ち度があったとしても同じ王国の臣下だ。みすみすと殺させる訳にはいかない」


「ふーん、でも俺らが元いた国には正当防衛っていうやられたらやり返していいって言う法律があんだよ」


過剰防衛ってなって逆に罪に問われる場合もあるけどな。


「そうか······」


「ま、意見の相互理解ってのは案外ムズいよな。こういうときは剣士らしく真正面からぶつかるしかないよな」


「ほう、私に剣士を語るとは。異界の勇者は戦闘のない世界から来たと聞いているが?」


「そんなのが大半だろうよ。でもこういう異分子が混じってる方がやっぱり国としても刺激があって面白いだろ?」


俺はアリスを構える。俺が愛用していた刀とは違うけど、やっぱり弘法筆を選ばずってことわざがある位だし、これくらいは誤差だよな。相対してみたけど、単純な身体能力じゃ相手が上だな。流石ステータスの世界。


「異界より来たるのは虎。相手を翻弄し、相手を屠る草原の王」


俺は久しぶりに降霊術を使う。これはオリジナリティだな。


「さて、楽しませてくれよ、ルベア」


俺は流れるような自然の動作で一瞬にしてルベアに近づく。


「ほう、それは勇者の技か?」


しかしそれに反応してみせるルベア。俺との怒涛のラッシュを繰り広げるが、どちらにも傷がつかない。


についてくるなんてやるなぁ。これとまともに打ち合えるなんてくらいだ」


「こんな力を隠していたとはな。リューヤも一端の剣士ってところか」


「俺は自分にケンカを売ったやつは必ず潰すって決めてるんでな。そろそろルベアの太刀筋も


俺はルベアの剣の起動を読みその上でルベアに対し突きをお見舞した。


「ガァッ!」


ルベアは地面に足を擦らせながら後退する。


「へぇ、体は丈夫なんだな。でも太刀筋が一辺倒だし、さっきの騎士よりかはマシだけど、自分の剣技を押し付けてる。相手に合わせるのは良くないけど、相手をもっと引き寄せないとね」


俺は余裕たっぷりにアドバイスをかまし、さっきケンカを売った騎士に剣を向ける。


「さてと、多分お前の行動は王様が俺を釣るための行動では無いと思う。だからここで俺がお前を殺したとしても王様が止める理由はない」


俺はあからさまに王様の方をちらちら見る。賢い王様なら俺が何をしたいか分かってるくれるでしょ。


「そこまでだ。勇者様も止めずにすまなかったな。勇者様の実力が知りたかったんだ」


「俺はまどろっこしいのが嫌いなんだ。俺はこいつのことが許せない。王様はこいつのことを助けたい。ならどちらがが折れるしかないな」


「奇遇だな。我も貴族同士の会話は好まぬ。勇者様は何を望む?」


「この世界についての知ってること全てをに教えること。城から外に出歩くことの許可。さっきこいつの言ってた不敬罪をに適応しないこと。の3つだな」


「俺ら、と言っているが他の勇者もか?」


「その通りだな。あ、城から外に出歩く許可は俺だでいいぞ」


「理由を聞いていいか?」


「逆に言うと思うか?」


「そうだな。了解した。これから勇者諸君には一切の不敬罪を使わない。そして最善の支援をしよう。最後に勇者リューヤにだけ城の外に出ることを許可しよう。しかし街の外に出る場合は我に直接許可を求めるように」


「······まぁ、そのくらいが妥協点か。了解した。早速だが、俺らをこんなところに召喚?した訳を教えろ」


俺の言い方が癪に障るのか王様の護衛が殺気立ってるが、さっきの不敬罪が適応されないため俺を睨む程度ですんでいる。または俺がルベアを吹っ飛ばしたせいで手出しができないのかもな。ルベアは既に立て直して王様の集団に溶け込んでる。


「では建物の中にいる者たちにも聞こえるよう話すとしよう」


叫んでいる訳では無いのに、突然王様の声が大きくなった。予想だけど、風魔法で拡声器みたいに使ってるのかな?


「我らが勇者を召喚した理由はこの大陸を支配せんと動いている魔王を討伐して貰うこと」


まぁ、テンプレだなぁ。ここ《この世界》の人達は一度でも自分たちで魔王を倒そう!って考えたことでもあるんだろうか?


「そしてもう1つは勇者の名を詐称し、各地で暴れ回っている偽勇者を討伐してもらうことだ」


それこそ自分たちでやれよ!と、思ってしまうのは俺だけだろうか。


「なぁ、100歩譲って魔王の討伐は理解できるんだが、偽勇者の討伐はそっちでできないのか?さっき言ってた竜宮騎士団を派遣するとか」


そう言うと王様はゆっくりと首を振った後盛大なため息をつき、こう言った。


「それが出来ればどれだけ楽か。偽勇者は全員邪神の使徒として活動しておる。邪神の使徒は魔王程ではなくともある程度強くてな。我々だけで討伐しようとすると、ひとつの騎士団の全滅覚悟で戦わねばならぬのだ」


「そんなに強いのかよ。んで俺らは元の世界に帰れれるのか?」


「それは確約できん。そもそも魔王討伐を成功した勇者自体が少なく、その上文献では魔王を討伐し、帰還の手掛かりを得た。としか書かれておらんのだ」


手掛かりね。そんなのが残ってたらその文献とやらに残すだろ。あからさまな嘘をついているのか、はたまた本当のことなのか。


「ほ、本当に魔王を倒せれば元の世界に帰れるのか!?」


「我からはなんとも言えぬ。だが過去の勇者は魔王討伐により手がかりを得たようだ」


うわぁ、あからさまな明言を避けて、いざと言う時に知らぬ存ぜぬをする人の言い方じゃん。政治家よりたちが悪くねぇか?


「そうか!みんな!魔王を倒そう!そして日本に戻るんだ!」


てかさっきから話してんの誰だよ!俺が校舎を見るといつの間にか全員が俺らの会話を見ていた。そして声がしたのは3年生の教室がある4階から。


声の主は光高の生徒会長をやってる宮城みやぎ 亮平りょうへい色々と悪い噂が絶えない奴だ。てか、話し合いの代表に出てんのが俺なんだから、お前は引っ込んでろよ!


「そうか!流石は勇者様方。そう言ってくれるとはありがたい」


ほらぁ。面倒な方向に話が進んでるじゃねぇかよ。


「では勇者様方、そこの建物から出てきてくれんか?色々とやって欲しいことがあるのでな」


俺は生徒会長を呪いつつ、この先に訪れるであろう不運に想像をするのだった。




✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭✭



主人公に何か含みを持たせたかったんですけど、下手すぎて変な感じになっちゃいました。ちなみにですが、これが初作品なので表現が下手なところや誤字脱字などが多いと思いますが、温かく見守っていただけると嬉しいです。


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