第6話 帰還

 無人払い戻し機へ並ぶアリサ。①②⑧⑨の二車単BOX車券を的中てきちゅう車券しゃけん投入とうにゅうぐちへ入れる。

 すると、無人払い戻し機の画面に、『的中』という文字と共に、『24,540円』という金額が表示される。


 払い戻し機から現金を受け取るアリサ。

「ふふふっ!」

 万車券を当てた上に、これで元の世界の世界へ帰れる。安堵の表情のアリサの傍らで、ムスっとした表情の競輪の神様。どうやら、まだ審議の結果に納得できていないらしい。


「人間の分際で、競輪の神様を侮辱しおって!③番はセーフだろ!」

「ダメですよ、神様。審判の判定に従わなきゃ」

「くううううっ!生意気な小娘め!」

 不意にアリサの手にした24,540円が宙に浮かぶ。


「なっ!何するのよ!返しなさいよ!」

「フン!今回は私の負けだ。この24,540円は、元の世界への運賃としていただくわい!」

「何ですって!そんなの理不尽じゃない!弥彦の審判以上に理不尽よ!」

 アリサの抗議を無視する競輪の神様。

「ええい、黙れ!さっさと元の世界へ帰るがいい!」

「ひゃあ!」

 その瞬間、アリサはまたも目の眩むような光に包まれた。

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