第一章 禁断の魔道士(1)
巨大船、マディソン号。
汽笛(きてき)のごとく胸を高鳴らせ小さな胸に大志をいだいた一人の少女、ティアヌ。
いざ、冒険の旅へ。
一路、虚海へと爽秋(そうしゅう)の風にまかせ帆をあげる。
南風(はえ)から吹く風と東風(こち)からの海風が巨大な船とぶつかりあい、白い帆(セイル)は順風な風をうけ満帆(まんぱん)にひろがった。
海を切る水飛沫(みずしぶき)、
美しくキラキラと光り輝く海原、
雲一つない晴れ渡った空に空砲をうちならす青天の霹靂(へきれき)。
すべてが順調な滑り出し、想いを遥か最果てへと馳(はせ)らせた。
一隻眼(いっせきがん)レンズごしに見る雄大な海原。
それを目にしただけでも心を高鳴らせるには十分すぎた。
誰の目にも真新しい世界への冒険心が瞳の輝きをかくせない。
ダイアモンドの輝きにも勝るとも劣らない宝石のような輝きは永遠とおもわれた。
しかしながら永遠などこの世には存在しない。
ミイラとなった死人ですら輪廻(りんね)の輪にくわわり、
現世に永逝(えいせい)した体をもって蘇(よみがえ)る、などありえないように。
それが世の理(ことわり)なのだ。
そんなごく普通のありきたりにみえる世界でティアヌが旅に出た目的として、
今の生活に嫌気がさした、でもなければ失恋して旅にでたわけでもない。
夢を実現させるために旅だったのだ。
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