大学入試
こんなつもりじゃなかったのにな。私は灰色の空を見上げ、ため息をつく。
本当は、第一志望の国立大学に受かって、広々としたキャンパスに今頃いるはずだった。三年間努力してきて、その結果がこれだ。私があの大学に受からないと想像できた先生は一体何人いるのだろう。まあ、仕方ないか、と苦笑いを浮かべる。二次試験の数学の問題に全く歯が立たなかったから。「試験やめ」の合図があったとき、「もうここには二度と来ないだろう」と諦めた。諦めたら試合終了、などの精神論が大嫌いだったけれど、信じていたからといって結果は変わらなかったと思う。
その後は、受かっているだろう、とタカを括っている親に、「わからない、五分五分」と詭弁を述べ、予約していた美容院で髪を切り、特筆すべきことは担任の男性の先生が袴を着ていたこと位の卒業式を終えた。最終的に進学先となった第二志望の私立大学と、少しランクを落としたもう一つの私立大学には受かっていたから、新生活の準備で慌ただしく過ごし、ついに迎えた合格発表の日。
大学のホームページの合格発表のページに、私の受験番号はなかったが、諦めきれていない部分もあった。頭がキーンといって、音が消えた。母親が引きつった笑みを浮かべて、「これ間違いじゃないよね」と言っているのを無視し、二階の自分の部屋に行って泣き寝入りをした。
人生で初めて味わった挫折だ。
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