#2赤ちゃん?

「え、これって、おしゃぶり?」

かわいい動物柄の服に、おしゃぶりによだれかけ、赤ちゃんが実際に付けてるのか分からないフリルの帽子。

人生をってそういうことなのか。

「着るか…」

少し抵抗はあったものの着てみた。

なんか少しきつ…

「キッついなぁ!」

急な大声に驚いたが、さっきの体の大きな男の声のようだ。

「痛てててて、腕が通らねえよぉ」

気になって見に行ったら、パッツパツな服を着た男がいた。

フリルの帽子もパツパツ、右手にはおしゃぶり。

「ふっ…」

余りにも面白くて笑ってしまった。

「お、おい!そこのやつ!笑うんじゃねぇ!」

男も照れてるようで、大声で恥ずかしそうに言ってきた。

他にも男は居て、ざっと15人ぐらいだろうか。

男の声に反応してみんな近寄ってきた。

「「「ふっ…」」」

みんな口を揃えてほくそ笑んだ。

「だ!か!ら!笑うんじゃねえってぇ!」

男は顔を隠して言った。

体は大きいがどこか優しそうな感じがした。

「ってか、もう行った方がいいんじゃないか?」

一人の暗めで小柄な少年?が言った。

「ん、お、よぉし、俺の格好で少し気が楽になっただろう!行くぞみんなぁ!」

「「「おおおぉぉ!!」」」

男は元気にこう言って、出口と思われる光を指差し向かった。変な結束力ができているようだ。

いや、遠目から見ると凄いな、先頭の大きな男の後ろに沢山の男が並んで歩いている、しかも赤ちゃんの格好だ。

…まあ、僕も赤ちゃんか。

僕も男の後を追うように光へ向かった。

「くっ…眩しい」

光の先には広い部屋があった。

積み木に、ぬいぐるみ、まさにだ。

右隣の光からは女の人が出てきていた。

女性が赤ちゃんの服を着ているのを見てどこか胸が高鳴る。これもなのだろうか。

ふと前を向くとウコイックが赤ちゃんの格好をして待っていた。いや、もろに赤ちゃんじゃないか。

ウコイックの前に男たちが一列に並んでいた。

「あ、おい!さっきのやつ!なんだっけ、えーと、タコヤッキか?あれが一列に並べってよぉ!」

男が叫びながらこっちに手を振ってきた。

あの男は少々おバカなのだろう。

「ウコイックだ!そこのでかいバカ!」

ウコイックがそう言うと男は手を合わせて少し微笑み謝っていた。

「このバカが言ったように!一列に並べー!順番は適当でいいよ~、あと苦しかったら帽子は取っていいよ~、特別だよ~」

やっぱり小馬鹿にした言い方だが、少し慣れてきた。

少し間が空き、ウコイックは説明を始めた。

「えーとね、とりあえず、その格好でわかる通り、赤ちゃんで~す、まあもう雰囲気作りだからおしゃぶりも外していいや~」

じゃあなんで渡したって感じだ。あと何より大事なのは今から

「えー、何をするかって言いますと、で~す。みんな仲良くなってください~」

交流会…とりあえず慣れろってことなのだろうか。

「今から男女二人ずつのチームを作ってもらいまーす。」

男女か、これは困った、だ。

「じゃあ、制限時間は三十分もあげちゃう、あ、端数で余ったのは仕方ないから四人じゃなくてもいいよ~、

念を押すように「最後のチームだけ」と言う、声掛けるの怖いし最後まで残るか…

「おい、さっきのやつ!組もうぜぇ!」

ん?体の大きな男!?

「いやぁ、みんなから組まないかって言われたけどよ、元はあんたが笑ってからみんなに注目されたんだよな、だからあんたが良いって思ってよぉ。俺、嫌か?」

笑って…か…面白かったから笑っただけなんだけどな。

「嫌じゃないよ、でも、僕なんかで?」

「おう、よし、あとは女性の方に出発だぁ!」

男は右手を上に上げ斜めを指指し歩いて行った。

きっと冒険かなんかが好きなんだろう。

ふと気づくと距離が離れていた。

「待ってー!」

僕は男に付いて行った

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る