幸福

 温かい夢を見た。

寒くもなく、暑すぎもしない部屋の中、小さな子どもと、彼らの母親らしい女性がいて、周囲の壁や床はフワフワとした感触がした。

子どもの年は上は小学校低学年くらい、下は一歳くらいの赤ん坊。けれど、母親たちは皆若くて、誰もが優しい顔をしていた。

 子どもたちはおもちゃの取り合いもせず、仲良く遊び、時折はしゃいで転んでしまった子が泣いてしまっても、皆嫌な顔一つせず慰めてやって、すぐにその子どもの母親がその子を抱き上げていいこいいこと頭を撫でてやっていた。

誰もが穏やかで、楽しげだった。

ふと、抱き上げられる感覚があって、上を見上げると、そこに居たのは母だった。実際のそれよりもずっと若くて身綺麗だったけれど、母だとわかった。

 抱き上げて、膝に乗せられて初めて子どもになっている事がわかった。そして、他の子どもと同じように、いいこいいこと頭を撫でて、抱き締めてくれた。

泣きたくなるような、優しい匂いがした。ずっと、ここにいたい。こうして膝の上で可愛い子と撫でられていたい。

 そして、目が覚めた。先ほどまでの平穏はなくなったと言うのに、胸は不思議と温かかった。

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