その洞窟は、全てを呑み込んでしまうのだという。

愛と悲しみを感じる鬱ファンタジー短編としては、とても好みの作品でした。救いはないといえばそうだけど、繋いだ命を理解した上で捨ててしまう主人公の情とか、終盤の話の仕掛けとか、吟遊詩人も唄わないような、ありふれた小さな冒険者の悲劇的な規模とか、自分には癖でした。愛した女を犠牲に救われる物語より、こういう人間の、男の業が好き。