すべての世界に愛を

めぐるわ

　あ、そこのきみ。そうそうあなた。ちょっとわたしとおはなしをしませんか？　えぇ、ちょうどひまをしていてね。すこしでいいからはなしあいてになってくれないかい？　つまらないはなしかもしれないが、きいてくれるとうれしいよ。

　ひまといってもそんなにじかんはとらないのでね。きみもきっと、わたしとおなじだろう？

　わたしはいままでのじかんにせっかくかんがえたこのはなしをただわすれるのはいやなだけなんでね、きみもきかいがくればわすれてしまうだろうけど。

　のこしてみたいんだ。ずっとまえからなんかいもおなじことをくりかえしているこのことを。

　ほら、きみとわたしとがはなしているこのいちびょういちびょうのあいだに、いくつものいのちのともしびがきえていてる。わかるかい。

　わたしたちがすごすへいたんなにちじょうをながれてゆくじかんのなかには、すこしもとぎれることなくむにかえってゆくいのちがあるんだ。

　そのなくなるいのちはひにちじょうをすごしているんだろうか。そんなことはきっとない。へんかはひにちじょうではないのだから。

　わたしたちもいずれはそのいちびょうのなかをこうせいするいのちになるんだ。

　ざんこくだね、でもこれがせつりなのさ。じゅんかんするこのうちゅうにさからえるものはないのだね。

　でもね、しんでゆくいちびょうのなかにはうまれるいちびょうもあるんだよ。

　ほら、いまだって。ほらいまもどこかでうぶごえがあがっている。このほしのじゅんかんがとまることはない。

　すべてはこのほしがこうせいする『めぐるわ』にしたがっている。

　きみも、わたしも。

　おっと、もうじかんがないね。どうやらきみよりさきだったようだ。

　なんどもなんどもめぐっては、きみにはなしをしたけれど、しばらくはわすれてしまうのか。ざんねんだ。このやりとりもなんかいしたんだろうね。

　こんかいもくだらなかったかい？　それはすまないね。けれど、まいどだまってきいてくれるのは、どうしてだい？

　……つぎにきみとあうときは、もっとおもしろいはなしをよういしておくとするよ。たのしみだね。

　では、きみもよきいちびょうを。

「ーーーーおめでとうございます、元気な赤ちゃんですよ。ーーかわいいおーーこでーーーー……