第2話

なんてことだ。俺が日中眠りこけている間に、そんなことが起こっていたとは。


 住みかから出ると、確かに血の臭いがする。仲間の血か。くそっ、なんてこった。


 魔物か……。


俺は苦い思い出を想い起こす。


 俺が子供のころ。


仲のいい両親に育てられ、俺は巣立ちの時を迎えようとしていた。

そんな時だ。山の向こうから魔物が現れたのは。


二本足で立ち、背中に矢を背負っている。火矢を射掛け、あっという間に集落は火だるまになった。親たちは殺され、俺も、ほうほうのていで逃げ延びた。


俺は、必死で生きた。昼に出歩くと魔物に見つかってしまうので、その時以来、夜に行動するようになったのだ。


逃げ延びた先は、ここ、武蔵野国。

いろんな仲間が傷をおった俺を癒やし、食料を持ってきてくれた。


元気になった俺は木々の間を飛ぶように走り、襲われても瞬時が体が反応するよう、食らいつく鍛錬を積んだんだ。


ここは、俺にとって救いの国。そんな国が攻められた。またしても魔物によって。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る