第7話


                  7


「由ちゃ~ん ひとみ~ 夕食の準備手伝って~!」

「「は~い!」」

 1階から母親、結子の声がして、二人が元気に返事をする。 このために由はエプロンを持参している、ちょっと可愛いヤツだ。智也はその姿が見たくて、一緒に二階から降りてくる。

「智也は居ても何の役にも立たないから、お父さんとリビング行ってなさい」

「そうしなよ、お兄ちゃん...、由ちゃんのエプロン姿 見たいだけかもしれないけどぉ~....」

「........」

 どうやら智也の狙いは、ひとみにはバレていた様だ。


 だが....。


「うふふ....、と~もや....ほら!」


そこには可愛いエプロン姿の 由が居た。


(か、か、か、かわいい........、ゆゆ........(智也))


「はいはい、男はあっちへ行っててくださぁい.....」

と言って、ひとみから退出命令が出された。


「とほほ.....」


 昭和的なリアクションで、リビングに居る父親の方へ行く事にする。




          ◇



「いただきます」

「「「「いただきま~す」」」」


 父 武の いただきます と共に、楽しい夕食が始まった、五人になると、いつも父が座っている席が智也になり、父は上座に座る。いつもの智也の席に由が座る事になっている、由が来た時の席位置だ。

 みんなの大好物の 空揚げをメインに、豪華な食卓になっている。親たちは冷酒で楽しく食事が進んでいるが、智也たち三人は、ビールで小乾杯しながら、食事をたのしむ。


 母の結子が武に問いかける。


「ねえ、たけちゃん。この二人の手、見てやって?」

「ああ、さっきから気にはしていたんだが、智也、その指輪は?」

「あ、これ?、う~~ん....、話せば長くなるけど」

「短くできないか?」

「私から言うよ、お兄ちゃん」


 そう言うと、ひとみが、日中に自分が説明された事を、簡素に父に話した。




「それは大変だな由ちゃん。智也はそれに対して、そのぺアリングで気づいてくれないかと思い、二人で 嵌め始めたんだな」

「うん、そうなんだ」

「これで気づいてくれればいいんですけど.....」

 由が心配そうに言う。

「そうだね....、でも、困ったものだな。嫌がっているのが分かっているのに、言い寄って来て。ふむ....、ま、何かあったら私たちに相談しなさい」

「ありがとうございます」


 父 武の気遣いに、頼もしさを感じる 由。


「由ちゃん、可愛いから、智也も大変ね。ちゃんと守ってあげるのよ」

「うん、それは」

「....で、あなたたち、いつ結婚するの?」


「「!!」」


 母の言葉に二人が詰まった。


「ははは.....ま、何て言うか.....な、?ゆゆ」

「は、はい....その.....、えっと.....」


 父が助け船を出す。


「ゆうちゃん、二人には二人のタイミングってのがあるだろ? いきなり、ストレート過ぎないか?」

「あら、たけちゃん。こういうのはハッキリしておいた方がいいのよ....、ね ひとみ」

「私もそこ、聞きたぁい。お兄ちゃん、どうなの?」

(うわ!みんな耳がでっかくなってる.....、コレは正直に言った方がいいな、後のために)


 智也は由を見て、頭を縦に振る、それを見た 由も頷いたので。


「俺たち、結婚は確かにする予定なんだ」

「ほう」

「ただ、まだ暫くはしない.....出来ないんだ」

「なんで?」

「それは.....」


 智也は二人が結婚についての想いを家族に伝えた。


「俺たちまだ社会人として、覚える事が多くって、将来 由と一緒になる為の基本造りをしている最中なんだ。これからまだまだ色んな事を覚えていって、二人で納得できるタイミングになったら、ちゃんとしようと思っているんだ」

「へえ、智也、意外にしっかりとした考えをもっていたのね、お母さんなんか 息子が誇らしいわ」

「そうか....、お前たちはそういう風に考えて、社会で成長しているんだな。ま、もう暫くは勉強の日々だろうがな、だが、俺もそうだが、最初は誰もみんなが経験することだ、それと今が大事だ、二人ともしっかりやりなさい」

「「はい!」」

「二人ともしっかりね。 でね.....」


 結子がさらに聞いてくる。


「由ちゃんのご両親は何て言っているの? 気になるわ」

「わ、私の両親は、智也くんの事を、ハキハキとした礼儀正しい好青年と言っています。 特に母親は、娘の事を第一に考えてくれる、優しい男の子だと言っています。それと、結婚の事を真剣に考えてくれているのは嬉しいと、父も言っていました」

「あらまあ、ご両親が揃って嬉しい事を言って下さるわ~、ねえ たけちゃん」

「良く言ってもらって、ありがたい事だ。智也、これからも、責任ある行動をするんだぞ」

「はい」

「うむ、よろしい」


 夕食も終わり、デザートにリンゴが出てきた。智也はリンゴが好物なので、真っ先にフォークを刺した。




 その後も日ごろの何気ない会話が続き、女性陣が洗いものを済ませて、リビングに集まって、少し会話をする。



「由、そろそろ部屋に行こうか?」

 智也が聞くと。

「うん」

 と答えた直後。

「私もちょっとだけ行ってもいい?」 

 ひとみが聞いてきたので。

「ああ、おいで」

「由ちゃん、いいかな?」

「いいわよ,ひとみちゃん」

「ありがとう、じゃ 早速いこ!」

「そうだな」


 そう言い、由は 両親に挨拶をして、そのまま三人で智也の部屋に行った。



          △



「ねえねえお兄ちゃん」

「ん?」


 部屋に入って、いきなりひとみが聞いてきた。


「お兄ちゃん達、結婚したら何処に住むの?」

 兄妹として気になるのだろうか、ひとみは智也と由との暮らしスタイルが気鳴る様だ。


「それは、今のところは、最初はアパートでも借りようかとは思っているんだが」

「でもいずれはこの家に入るんでしょ?」

「そうなるのかな? でも 由の意見が大事だな」

「ありがとう 智也、うれしい」



 まだ先の事だと思っていた事が、ひとみからの一言に、重みを感じ、そう遠くない結婚と言う事実に、智也は先を見なくてはと思うのだった。


「智也。私はどこに住む事になっても平気よ、あなたと一緒だもん」

「嬉しいな、由がそう言う風に言ってくれるのが、オレに安心感をもたらしてくれるな」


「あ~あ、愛し合う二人は、何処に居ても幸せだったのでしたってヤツだね。羨ましいな」


 すると。


「誰でも良いから、順番にお風呂入ってよ~!」


 母親 結子の声が一階から聞こえた。


「は~い」

 ひとみが返事をして、お風呂の順番を決める事にする。


「お兄ちゃん、今日は由ちゃんと入ったら?」


「ば.....」

「あはは、な~んて....、残念だね、今日は私とは入れないね」



「え?!.....」



 由が固まった。 そして、智也とひとみを交互に見て言う。


「智也って、ひとみちゃんと今もお風呂に入っているの?.....」


「毎回ではないけど、時々は一緒に入ってるかな」


 ひとみが平然と言う。


「そうなの?智也.....」

「た、偶にだがな....」


「........」


「どうした? 由」

 由は驚愕したが、何とか次の言葉が出た。


「し......、信じられない! ひとみちゃんだって、もう立派な大人の女の体よ、いいの?平気なの?」

「何で? 別に小さい頃からず~~っと一緒に入っているから、今更何にも感じないけど、世間的にはおかしいのかな?」

「おかしいと思う、私は....。だって、二十三歳と二十二歳の男女よ? 恋人じゃないのに、とてもおかしいと思うけど」


「由ちゃん、それって嫉妬では無いんだよね?」


 瞳が鋭い事を言う。


「う....、た、多分違う....と思う」

「世間的と言うか社会的にと言うか、って奴か?由」


 少し考える 由。


「う~ん、何だろ?それとはまた違った感情かな? 自分でも分からない」

「じゃあ、今日は一人づつ入りましょうか」


 ひとみが提案する。


「時間がかかるな、由は30分以上はかかるし、ひとみだって結構長いからな、俺が入るころには、一時間半くらい後になりそうだ」

「じゃあ、お兄ちゃんが先に入れば?」

「それでいいのか?」

「「別に」」

 

 あまりにも喋っていたので、また母親から。


「もう早くしなさい!何なら みんなで入っちゃいなさい! もう!」



「「「!!!.........」」」



「ま....、そういう事だ、ウチは......由」


「は~~い!」


 またひとみが返事をしておいた。

「取りあえず返事はしておいたんで、ま、由ちゃんも一緒に入ろ?....ね?」

「私は二人の後で入ろうかな?....」

「だって、おかしいって言ってたじゃない。だったら三人一緒に入ってしまったほうが、たぶん気持ちがスッキリすると思うよ、だから、一緒に....ね?」


「......う、うん」


「よし! じゃあ、私と 由ちゃんが先に入って洗ってから、スマホで呼ぶからそしたら入って来てね」

「おう!分かった。じゃあコレ」


 そう言って、スマホの簡易防水ケースをひとみに渡した。



         △



「わわ、由ちゃん、おっぱい大きんだね、お兄ちゃん嬉しいんだろうな~」

「な、無い言ってるの? ひとみちゃんだって、大きいじゃない、多分わたしよりも」


 きゃあきゃあ言いながら、洗いっこして、かけ湯をした後、スマホでOKを智也に出す。



 二人が湯船に浸かった時に、脱衣所の扉が開いた。


「いいか?」

 と聞いたので、二人が


「「いいよ」」

 と、返事を返した。


 風呂の扉を開けると、仲良く二人が並んで入っている、智也はひとみが一人の時の様に入っていったが、由は顔が真っ赤になり、壁の方に体を向けてしまった。


「と、ともやぁ~......、やだ~!」


 智也を直視出来ない 由。


「あはは、由ちゃん、慣れてないもんね、私はいつもの事だから、平気だけど、やっぱ恋人でも、お風呂はムリなのか....、な?」


「と、取りあえず、向こう向いてオレは体を洗うから、こっち向いててもいいぞ、」


 少し安心させる様に言う。


「ほんと?」

「ああ」


 智也はせっせと体を洗い、頭もしっかり洗って、シャワーで洗い流す。いつもの洗い方に、由は(男っていいな~)と思った。


「ヨシ!交代だ、誰か代わってくれ」

「は~い、私が今度は頭を洗うから」

「おう、じゃ 交代な」

「うん」


 兄妹で浴槽を境に交代する、いつもの事で智也がひとみに言った。


「相変わらず 胸デカいな、ひとみ」

「あは、お兄ちゃんの えっちぃ....あはは」

「分かった分かった....」


「............(由)」


 無言のまま智也を睨む 由。


「どうした?由、何か変な事言ったか、オレ...」


「と、智也...私以外の胸、褒めた......」


「な...。あのな、ひとみはオレの妹だぞ? こ~んなちっちゃい頃から一緒に入っているんだから、思春期も一緒だったからな、今更って感じだ」

「でも......」


 両腕で胸を隠している 由。 やはりこの空気には慣れないみたいだ。


「あ~、もう! オレが大好きなおっぱいは、ゆゆのだ! コレ決定な!」

「う!!」


 由が顔を真っ赤にして、俯く。そんな仕草にドキッとしてしまう智也だった。


「何よもう! 二人でイチャイチャ、見せつけないでよ、独身の身としては辛いものがあるな~」

「俺たちはまだ既婚者じゃないからな、予定はあるが」


「は~い、私は終わりました、次 由ちゃんど~ぞ」

「う、うん......」


 今度は、ひとみと由が交代して、髪を洗う。そうすると、手がフリーになるので、見事な体系が見えてしまう、智也は何だか少しモヤモヤするのを覚えた。


 恥ずかしいのか、由は背中を自分の方に向け、洗っている。いつも見ている胸が見えないのが何だか悔しい気がする智也だが、洗い終わった時に、シャワーヘッドを持った瞬間に、チラッと右胸が見えた。


「今見たでしょ智也」

「見てない見てない」

「うそ!しっかり見てたくせに」



「と、とにかく、早く洗い流しなさい」


「だからあ~、イチャイチャしないで~」


「「してない!」」


 なんて言いながらも、しっかりと 由の体を堪能する智也だった。



        △


 午後11時前。

 みんなでお風呂から上がったあと、それぞれの部屋に分かれていき、智也たちは飲み物をそれぞれ持って、部屋に入った。


「ねえ、いつもあんななの?」

「あ~風呂の事?」

「うん」

「毎回ではないが、結構頻繁かな?」

「さっき、智也私に反応した?」


 顔を赤くして俯く 由。


「実は湯船で二人になった時に、反応しかけた」

「そう......」

「なんだ?」


「いえ....、ちゃんと私には反応してくれていたんだって思うと、何か嬉しい...かな...」

「だって、オレの恋人だからな、妹じゃあ無いんだからな」

「嬉しいよ~....」


 智也に抱き着くと、いい香りが智也に刺激として、反応させる。


「由、それはまずい」

「なに?」

「ヤバいから....」

「もしかして?」

「そ、そうだ...、が」


 由が恥ずかしそうに、顔を赤く染めながら、笑顔で。




「ねえ、智也............、しよ?」


「だな」

「うん」


「静かにだぞ」

「え~、わかんな~い....、そんなの」

「は...、はは......」



 久しぶりに体を重ねる二人。 本当に愛しい相手だからこその、体と心の芯からの気持ちが一つになる実感をお互いの肌で感じる 智也と由だった。




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