第6話 日曜夜9時

 仕事から帰ってきて、とりあえず風呂に湯を入れた。

 今日は忙しかったなぁ。

 そして、テレビをつけた。

 何人かの芸能人がゼスチャーゲームをしていた。

 着替え始めたところで聞こえてきた。


「鬼畜チーム80点!」


 鬼畜!


 どんなチームかと思ってテレビの前に戻ったら、何のことはなかった。

 来週の日曜夜9時から始まる新番組の出演者の人たちだった。

 月曜夜9時の番組を「げつく」というのは知っていたが、今では日曜夜9時を鬼畜とまでいうらしい。


 いや、「にちく」だ。


 頭ではわかっているが、どうしてか鬼畜に聞こえる……アカン!

 風呂があふれる!

 案の定、浴槽にはお湯が満ちていた。

 たまには贅沢にお湯を使ってやろうと思い湯加減を確かめると、なかなかいい具合だった。

 勢いよくざぶーんといかないと贅沢感が半減してしまう。

 もう面倒だからその場で服を脱ぎ捨てた。


 いざ、いざいざっぷーん!


 いい湯だ!


 浴槽からあふれるお湯をながめながら満足感に浸った。

 そして、今日は菊地君に悪いことをしたと思った。

 彼女と約束があるというのに、一緒に残業を頼んでしまったからだ。

 菊地君がいなかったら、まだ仕事をしていたことだろう。


 そういうことか!


 菊池君!


 ありがとう!

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