第230話 いや、タイミング悪すぎない⁉︎

「ゆうく〜ん。」


「あおい〜。」


そんな声を出しながら、父さんたちによって阻まれた、新年初のハグをしようとしていた時だった。


「お邪魔しま〜す。」


そう言って、俺たちの前に渚ちゃんが現れたのは。


「……。」


「……。」


「……。な、なんかごめんね?」


き、気まずい。こんなの気まずすぎる。しかもその、『ごめんね』って言葉……。なんて言っていいのかわからないけど、キツイ。何がキツイのかわからないけど、本当にキツイ。うん。


「ううん。全然大丈夫。……それより、何か用があるんじゃないの?渚。」


今年のあおいは切り替えの早いあおいさん。(←何言ってんの?)先程と同じように、すぐ、甘い声から鋭い声へと切り替え、ピシッと姿勢を正す。

そんなあおいに、渚ちゃんは、すこし驚いているようだった。


「う、うん……。その、今日は葵にお願いがあってきたの。」


あ、俺は関係ないのね。

喉の渇いていた俺は、水を取りに行こうと立ち上がる。

すると、


「ま、待って‼︎……その、これは葵に対するお願いではあるんだけど、ゆうきお兄ちゃんにも、関係があって。」


そう言って、渚ちゃんに引き止められたため、俺はもう一度座り直した。


「それじゃあ、話を始めるね。」


俺が座ったのを確認した渚ちゃんは、背筋をピンと伸ばして話し始めた。

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