番外編 もしも日鞠と付き合っていたら? クリスマスデート編③

「なんかこれ、すっごく恥ずかしいですね。」


耳元から、そんな声が聞こえる。観覧車のゴンドラという、密閉された空間の中で二人。すぐ隣には日鞠。シチュエーションとしては最高なんだけれど、やっぱりちょっと恥ずかしい。……だってこの観覧車、狭いから、くっついて座ると、足と足がくっついちゃうんだもん。それに、顔同士の距離もそんなにないし。


「そうだね。」


本当は、すっごく恥ずかしくて、まともに声も出せそうもないのに、なるべく平常心をよそってそういう言った。……好きな子には、かっこつけておきたいし。


「……先輩ってすごいですよね。いっつも、私にかっこ悪い部分を見せないように頑張ってて。」


……え⁉気づかれてたの‼それって、めっちゃくちゃ恥ずかしい奴じゃん。無理してかっこつけてるのを知られてるとか。……もうここから飛び降りて死にたい。羞恥心がやばいからここから出たい。


「私、先輩のそういうところ、大好きですよ。……あ、先輩、見てください、夕日がすっごくきれいですよ‼」


日鞠は、顔を赤くしながらそう言ってくれた。……それなら、俺だって、羞恥心なんて忘れて、日鞠に好きって伝えてあげないとな。


「そうだね。……でも、あの夕日の何倍も、日鞠はきれいだよ。」


柄にもなく、気障きざなセリフを言ってしまった。

これ、もしかして失敗したんじゃね?そう思って日鞠の方を見る。すると、日鞠は、


「ゆうき先輩かっこいい、ゆうき先輩かっこいい、ゆうき先輩かっこいい……」


などと、ぶつぶつつぶやきながら、青を真っ赤に染め、口元のあたりを手で押さえている。


「俺、日鞠と一緒にここに来れてよかったよ。」


これから先、ずっとずっと、俺の中の一番であり続ける美少女に向けて、俺はそう言うのだった。

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