番外編 もしも優香と付き合っていたら? クリスマスデート編③

「ゆうき、今日は楽しかったね。」


あれから30分ほどたったころ、静かな町を、明かりがほとんどない暗い街を、二人手をつないで歩いていた。手をつないでいるおかげで、手は暖かいのだが、コートや、二人で共有しているマフラーで防御しきれない顔には、冷たい北風が絶え間なく当たり続けていた。


「そうだね。イルミネーション、すっごくきれいだったし。……本当に、優香と来れてよかったよ。」


本心からそう思う。……だって、優香のあの可愛い顔が見れたのだから、普段から可愛い優香の、普段の何倍も可愛い顔を見ることができたのだから。


「私も、ゆうきと一緒に見れてよかった。……あんな写真も、一緒に撮れたしね。」


……。『あんな写真』きっと優香のこの言葉がさしている写真はあの、一番きれいに輝いている木の前で、二人で撮った写真、写真を撮る瞬間に、優香がキスをしてきたあの写真のことだろう。


「あの時は本当にびっくりしたよ。急にキスしてきたものだから。」


「でも、嬉しかったんでしょ?」


……。


「はい。嬉しかったです。」


うん。これはマジで否定できない。すっごくうれしかったし、またしてほしいって思えた。


「やっぱそうだよね~。私も、嬉しすぎてあの写真、友達に送って自慢しちゃったよ‼」


……。ん?いや、それはまずいでしょ⁉何それ、友達に送るって。ヤバすぎるって。

優香、普段は常識人なんだけど、こういう時になると、やばい人になるんだよな~。

ともかく、今は写真の件を何とかしてもらわないと。

そう思い、写真を添付して送ったメッセージを消してもらえるように、優香と交渉する俺であった。

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