第222話 葵さんとのクリスマスデート②

「ねえゆうくん。一緒にイルカショー見ない?」


水槽の中を悠々と泳ぐカッコいいサメに目を奪われていると、あおいがそんなことを言ってきた。……このコーナーに来てから、あんまり楽しくなさそうだけど、あおい、こういう系の魚あんまり好きじゃないのかな?

それにしても、イルカショーか……。俺、あれをあおいとみるの、嫌なんだよね。あおい、いっつも前の方の席で見たいっていうから服がびちょびちょに濡れるし。レインコートを着ればいいんだろうけど、俺、今日も持ってきてないし。もしイルカショーを見るのなら、事前に行っておいてほしいよね‼


「別にいいけど……その、席はどこらへんにするの?」


ただ、今日は、デートできているんだ。あおいが楽しんでくれなきゃ意味がない。

だから俺は、イルカショーを、二人で一緒に見ることにした。俺はもう、サメとかエイとか見れただけで満足だから。


「もちろん、後ろの方だよ‼……本当は前の方がいいけど、ゆうくん今日、レインコート持ってきてないでしょ?」


……え⁉今あおい、何て言った⁉まさか、後ろの席でイルカショーを見てくれるって言ったの⁉あのあおいが、俺のことを考えてくれるなんて……。いや、別に侮辱とかじゃないんだよ?ただ単に、いっつも強引なあおいが、俺のことを考えてくれたのに驚いただけで。


「それじゃあゆうくん、イルカショーに向けて、レッツゴ~‼」

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