番外編 もしも日鞠と付き合っていたら クリスマスイブ編

「ゆうきせ〜んぱい。あ〜ん。」


シチューにフライドチキン。クリスマスっぽい料理が並んだテーブルに、日鞠と2人、向かい合って座る。付き合う前に、『あ〜ん』を一度してからは、この行為を何度もやってきたけれど、今日の『あ〜ん』はいつもと違った。いつもよりニコニコしながら俺の瞳を見つめる日鞠。見つめられてることに気づいている俺もまた、当然のように日鞠の瞳を見つめているのだ。……うん。まあ、当たり前だよね。そうじゃないと日鞠が、俺の目を見つめていることなんてわからないもんね。……ってちが〜う‼︎今はそんな話じゃないじゃん。何がいつもと違うかじゃん。

……いつもの『あ〜ん』と違うところ、それは、日鞠と、見つめ合いながらしていることだ。まあ、つまり『見つめあ〜ん』ってことだね。(……なんかリズムが悪いしちょっと意味がわからないような気がすれけど。)

そして、二つ目の、いつもと違うところ。

(……あれ?もしかして一つだけだと思ってた?いや、そんなわけないじゃん。だって今日は、クリスマスイブだよ?クリスマスイブ。)

それは、2人で同時に、『あ〜ん』をしていることだ。うん。つまり『ダブルあ〜ん』だね。


「先輩、私、先輩と付き合えて幸せです。……これからも、甘えん坊で子供っぽくて、寂しがりやな私の隣にいてくれますか?」


『クリスマス』。(……まあ、今日はイブだけど)もともとはキリストの降誕祭だったこの日は、いつからか日本では恋人達の日になっていた。恋人達の日になっている以上、お互いの気持ちを伝え合いたいと思ってしまうのは仕方のないことで、他の恋人達のように俺たちもお互いに愛を伝え合う。


「もちろん。可愛くて優しくて、いっつも側で支えてくれる日鞠のこと、俺は大好きだよ。……日鞠。これからも俺の隣にいてくれないかな?」


「もう、先輩は仕方のない先輩ですね。ずっとずっとず〜っと、私のそばにいてください。」


何度も、何度もぶつかり合って関係を深め合うカップルの絆というものは、すっごく強いもので、素晴らしいものだと思う。でも、俺たちのように、愛を伝え合い、お互いのことを愛し合い、支え合うカップルもまた、素晴らしいものだと俺は思う。

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