第219話 葵と過ごす、クリスマスイブ①

「ゆうくん。この指輪、ありがとね。すっごく、すっごく可愛い。……これって、日鞠ちゃんが選んだの?」


2人でゆっくりご飯を食べていると、あおいがそう言ってきた。


「ううん、違うよ。日鞠ちゃんじゃなくて、俺が選んだんだ。日鞠ちゃんに、『大切なのは気持ちです。』って言われちゃってさ。」


本当は、本当は日鞠ちゃんに、可愛いものを、葵に選ぶものを選んでもらおうと思ってた。でも、あの言葉があったから、日鞠ちゃんがああ言ってくれたから、自分で選ぼうと、あおいのために、自分で選ぼうと思えた。


「そっか〜、ゆうくんが選んでくれたんだ〜。」


指輪を優しく撫でながら、あおいはそういう。


「日鞠ちゃんに選んでもらった方がよかった?」


あおいがこの質問に、どう答えるかなんかわかってる。だってあおいのは、嬉しそうな顔、優しい目をしているんだから。あのあおいの姿をみれば、誰だって簡単にわかるだろう。


「ううん。ゆうくんに選んでもらえてよかったよ。」


ほらね?言ったでしょ?

……え?わかってるなら聞くなって?いや、それはね。あの〜、なんていいますか……。わかっていても、あおいの言葉で、聞きたくなっちゃうものなのです。はい。


「ちなみにゆうくん。これ、いくらくらいしたの?」


「……それを、聞いちゃいますか?」


いや、まあ別に高くないけどね。だってバイトもしてない高校生が買える値段だし。お年玉15年分って言っても、普通にラノベとかに使ってるからね?俺。


「……それじゃあ、やめておくよ。」


よし、なんとか値段の話は乗り切れたぞ。……まあ別に、話してもよかったけれどね。でもやっぱり、プレゼントは値段じゃないっていうじゃん?……知らんけど。

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