第199話 渚からの、宣戦布告
「ゆうくん、これ、どうやって作るの~?」
昨日の宣言通り、渚は今まで以上にゆうくんにくっついていく。
ずるい‼すっごくずるい‼渚ばっかりゆうくんにくっついて‼
……え?そんなことより、昨日の宣言って何?
だって?
「いや~、葵とこんな風にお風呂に入るのって、何年ぶりだっけ?」
私より、あれが大きい渚がそう言う。……昔一緒に入ったときは、おんなじくらいの大きさだったのに。……まあ、何がとはないけど。
「確か渚が引っ越すちょっと前に、一回入ったんだよね。最後の思い出作りとかで。」
あの頃は、周りにどれだけたくさん人がいても、ゆうくんにくっついていれたのに、今じゃ人が多いところだと、ゆうくんにくっつけないどころか、冷たい態度をとっちゃうんだよね。……はぁ。
「そうそう、あの時はゆうきお兄ちゃん……今はゆうくんでいいか、とも一緒に入ったよね。……ねえねえ葵、あの後ゆうくんと一緒にお風呂に入ったことってあるの?」
……え⁉ゆ、ゆうくんと一緒にお風呂に入ったこと?そ、そんなのあるわけないじゃん。だってもう、わたしたち今、高校生だよ⁉高校生になって、一緒にお風呂に入ったことがあるわけないじゃん‼
……ごめんなさい、嘘です。
「実は、いろいろあって、高校生になってから2回、一緒にお風呂に入ったことがあります。はい。」
う~、今思い出すと、すっごく恥ずかしい。私、ゆうくんとお風呂に一緒に入た時、2回ともかなりやらかしちゃってるし。
「え⁉高校生になってからってことは、最近のことじゃん⁉……いいな~、葵。」
そう言いながら、うらやましそうに私のことを見ていた渚の目が、突然、真剣なものに変わる。
「……ねえねえ葵、これからは私、もっともっとゆうくんに積極的にアプローチするから。学校でも、家でも、葵の前でも。ゆうくんに、好きになってもらえるように、葵よりも私のことを好きになってもらえるように、葵みたいに、ゆうくんと一緒に、たくさんの思い出を作っていけるように。だから、覚悟しててね?」
そして、渚は、まっすぐに、わたしの目を見つめると、そう、宣戦布告をしてくるのだった。
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