第197話 ゆうきお兄ちゃん、今日の作業、どうだった?
「ゆうきお兄ちゃん、今日の準備、どうだった?」
3人でベッドに寝っ転がっていると、突然、渚ちゃんがそう言ってきた。
……うん、これで分かりやすくなった。
「……どうって言われると。」
『つまらなかった』とか、『きつかった』とかは言いずらいので、そう、言葉を濁した。……係を、じゃんけんで決めようって言いだしたのは俺だし。
「『すっごくつまらなかった』だよね?ゆうくん。」
せっかく人が言葉を濁したというのに、葵さんはそう言う。
「そ、そうなんだ……。」
渚ちゃんは、どう反応していいのかわからず、そう言ったきり、黙ってしまった。
……葵さん?いったいこの空気、どうするおつもりなんですか?
同じ作業を、4時間も延々とやっていたことによって、ストレスが溜まってしまったというのも、わからなくはないが、さすがにこれは……。
もうちょっと、あとのことを考えてほしかったな。
そんな風に文句を言ってもいても仕方がない。学校で、空気を換えることはできなかったけど、仲のいい二人の前でなら‼
そう思った俺は、場の空気を換えようと、話し始めた。
「確かに、あの作業を延々とし続けるのはきつかったけど……それでも、葵とか優香さんとか、大輝とかと楽しく話しながら作業をするのはすっごく楽しかったよ。……前より、3人と仲良くなれた気がするし。」
うん。これは結構いいんじゃない?葵の気持ちも尊重できてるし、渚ちゃんも、話を
広げやすい言い方をしているし。
「……ゆうきお兄ちゃん、一緒に仕事していたら、3人と、もっと仲良くなれたの?」
ほら、話しが広がったじゃん。葵、会話のキャッチボールっていうのは、こうやってやるんだよ‼会話のドッジボールなんて、やったらダメなんだからね⁉
そんな風に考えていた俺は、次の日あんなことになるなんて、想像もしていなかった。
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