第185話 服をえらぶのが、すっごく苦手なゆうきくん

「……渚、何そのすっごくダサい服は。」


友達の、優香さん(?)とかいう人と遊びに言ってた葵が、リビングに入って私を見つけるなり言った言葉がそれだった。……もっと他に、一番最初に言うべきことがあるでしょ⁉『渚、これからよろしくね。』とか。


「え⁉あ、葵……この服って、ダサいのか?」


心の中で、葵に抗議していると、ゆうくんは葵に向かってそういった。……まあ、自分が選んだ服を、『ダサい』って言われたら、そういう反応になるよね。しかも、12000円もしたわけだし。


「うん、この服、控えめに言ってすっごくダサい。鬼ダサい。」


葵にそう言われ、わかりやすくショック受けるゆうくん。なんかすっごくかわいそうだな。

そんなことを考えていると、


「……もしかして渚、ゆうくんに服、選んでもらったの⁉」


と、葵が突然、そう聞いてくる。


「うん。そうだよ。もともとゆうくんに、服を選んでもらう約束はしてたし。……それに、今日ゆうくんが着てきた服、すっごくかっこよかったから、安心して任せたんだけど……ゆうくん、女の子の服を選ぶのは得意じゃなかったみたいで。」


正直に、正直にそう話した。……だってもう、ゆうくんはかなりショックを受けてるしね。


「へ~、そういう事だったんだ~。……渚、あんまりゆうくんに、服を選ばせない方がいいよ。ゆうくん、服のセンス、絶望的だから。……今着ている服も、わたしと優香で選んだし。」


……あ、そういう事だったんだ。ゆうくん、女物の服を選ぶのが苦手なわけじゃなくて、単純に、服を選ぶこと事態が苦手なんだ。

……それならそうと、最初っから言ってくれればいいのに。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る