第184話 姫野渚の初デート ④
「ゆうくん、この服、どう思う?」
私たちが今日、デートをしている理由。それは、昔私とゆうくんが交わした約束、第177条に書かれている、『大きくなったら私の服を、ゆうくんに選んでもらう』という約束を、果たすためだ。
ちなみに、今はゆうくんに選んでもらった服を試着中。……ゆうくんに選んでもらった服、上下に統一感がないし、すっごくカラフルだし、わたしに似合わな過ぎて、笑いをこらえるのが、本当に大変だ。……こんな幼稚園児みたいな服装、高校生になってもしてる人、なかなかいないって‼ゆうくん、服のセンスなさすぎでしょ⁉
そう、声を大にして言いたいが、本人はかっこいい服を着ているので、そんなことは言えない。もしかしたら、女の子の服を選ぶのが初めてだったから、こんな変な服、選んじゃったのかな?
……ていうかゆうくん、早く感想言ってくれない⁉さっきから、わたしとゆうくんの間を通っていく人たち、み~んなもれなく私のことをを見て、クスって笑いながら通り過ぎていくから、すっごく恥ずかしいんですけど⁉こんなの、そんなに時間をかけなくても、似合ってないことくらいわかるじゃん‼ゆうくん、男物の服を選ぶのは得意だけど、女の子の服を選ぶのは苦手系男子⁉ねえ、ゆうくん、どうなの⁉
「うん。その服すっごく似合ってて、すっごくかわいいと思うよ‼」
……どこが⁉どこが似合ってんの⁉ゆうくん、ゆうくんの目って節穴なの⁉視力悪くなっちゃった?色の見分けが、つかなくなっちゃったの⁉
そう、心の中で文句を言いつつも、上下合わせて12000円で、ゆうくんの選んでくれた服を買ってしまう私。
……これが惚れた女の、弱みってやつなのかな?
そう、大人っぽいせりふを、口にするのであった。
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