第183話 姫野渚の初デート ③
「あの、渚ちゃん。……その、一緒に寝るって話、さすがに冗談だよね?」
そう、引きっつった顔をしながら、私に言ってくるゆうくん。
……え⁉もしかして、私と一緒にいるの、そんなに嫌だった⁉
そんな顔をされてしまっては、いっつもポジティブシンキング、『前しか向かない女の子』と呼ばれる私でも、そう不安に思ってしまう。
しかも、そんな顔をされた相手が、友達とかではなく、10年以上、大好きだった相手となると、その傷の深さは、計り知れない。
そんなつらい現実を、悲しい現実を突きつけられた私の脳は、混乱してしまい、意味の分からない言葉を、絶対に今、言うべきではない言葉を使ってしまっていた。
「もう‼ゆうくん‼なんでそんなに、私の言ったことを疑うのさ~。……ゆうくんと一緒に寝るっていうの、嘘じゃないよ‼だ~か~ら~、夜のベッドで、葵よりも、ふか~い関係、築いちゃお‼」
……。うん、普通に私、何言ってるの?いくら混乱したとはいえ、これはひどすぎだよね⁉こんなの、酔っている状態とかじゃないと、許されないような発言でしかないよ⁉これを素面の状態で言ってるとか、ヤバイ奴だよ⁉……私、将来お酒飲んだらどうなっちゃうんだろう。
ていうかこれ、普通にゆうくんに嫌われちゃったじゃん。
……はぁ。約8年ぶりに、大好きな人と再会できたと思ったら、いきなり嫌われちゃうし、相手は自分のことを覚えていないとか。私すっごくかわいそうすぎない⁉
私の人生、ハードモード過ぎない⁉……私、ゲームも人生も何もかも、イージーモードがいいんですけど⁉神様、今から難易度変更できませんかね⁉
そんな風に、人生終わってしまったと思い込み、神様に文句を言っていると、
「いや、別に渚ちゃんが嫌ってわけじゃないんだ。……ただ、その、今うちにはベッドが一つしかなくてさ。俺と葵も、一緒に寝ている状況なんだよね。……二人でもきついのに、三人なんかで寝れるかなって思っちゃったから聞いただけで。本当に、渚ちゃんが嫌だとかはないから。」
と、ゆうくんが言ってくれた。
はぁ。よかった~。私、ゆうくんに嫌われなかったみたいだ~。
……でも、まさか葵は、ゆうくんと毎日一緒に寝ていたなんて。普通に、うらやましすぎる。
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