第182話 姫野渚の初デート ②

ピリリリリ


二人で並んで歩いていると、ゆうくんの電話が、そんな音を立ててなった。

……しかし、ゆうくんはなかなか、電話を取り出そうとしない。

ありゃりゃ?これはもしや、ゆうくん、わたしに気を使ってくれてるのかな?

『彼女とのデート中に、電話に出るのは失礼だよね。』とか考えて、電話に出ないでくれているのかな?……でも、この電話はきっと、についてだろうし。もしここでゆうくんが電話に出なかったら、今日からゆうくんと、する予定だったのが、明日からになっちゃいかねないし。うん。ここはきちんと電話に出てもらわないと。

そう思った私は、


「いいよ。ゆうくん、電話に出てきても。……私、ここで待ってるから。」


と、ゆうくんに向かってそういった。

するとゆうくんは、


「ありがとう。」


そう言い残し、わき道に入って電話に出る。

……ゆうくん、あの話聞いて、どんな反応するのかな?

そんなことを考えながら、ゆうくんの様子を見つめる。


あ、驚いてる驚いてる。

……あれ?今一瞬、嬉しそうな顔をしてたけど、それって、わたしと同棲できるのが、嬉しいからかな~?えへへ~。ゆうくん、わたしもゆうくんと同棲出来て~、すっご~く嬉しいの。葵はいるけど~、たっくさ~ん、二人でくっついたりしようね‼


そんなことを考えながらゆうくんのことを見ていると、いつの間にか、電話は終わってしまい、私の方に向かってゆうくんが歩いてきた。……あれ?ゆうくんまだ、あっちのことについては聞いていないのかな?私が、ベッドをもう売っちゃうから、二人で一緒のベッドに寝るってこと、まだ聞いてないのかな?

ま、まあゆうくんに、そのことも含めていろいろ聞こっと。まだまだ、デートは続くしね。

そう思った私は、さっそくゆうくんに同棲のこと、ゆうくんと同じベッドで寝ることなどを、話し始めた。

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