第180話 ……さすがに聞き間違えだよね⁉

「ねえねえゆうくん。今の電話って、まさか……あの話?」


わき道から出てきた俺に向かって、渚ちゃんは、満面の笑みを浮かべてそういう。

……さっき『電話に出てきていいよ』って言ってくれた時、いたずらをした子供のような顔してるなって思ったけど、それは、このことを知ってたからなのね⁉

気づかないうちに、髪型をへんてこにされたり、バッグのチャックを開けられたりしたのかな?とか思ってたけど。


「うん。そうだよ。渚ちゃんも、今日から一緒に住むって話を今聞いたよ。」


はぁ。

俺に好意を寄せてくれる女子二人と同棲とか、冗談じゃない‼

そう思った俺は、目の前に渚ちゃんがいることなんか気にも留めず、溜息を吐く。


「そっか~、ゆうくんもその話、きいたんだ~。……でも、まだあの話は聞いてないでしょ?同棲するっていう話より~、もっと衝撃的な~は・な・し‼」


……いや、さすがに渚ちゃんとの同棲以上に衝撃的な話なんてないでしょう。うん。ないない。……ていうかもし、そんなものがあるとしたら、俺の心が持たないんですけど⁉驚きと、緊張のせいで。


「私が~、これから毎日、ゆうくんと一緒のベッドで寝るっていう~、大事な~お話は、まだ聞いてないでしょ~?」


……ん?今なんて言った?

いや、あのね、聞き間違えじゃなかったら、渚ちゃんが俺と一緒に寝るとかいう、意味の分からないことを言ってた気がするんだけど、さすがに聞きっ間違えだよね⁉

……俺が大好きな葵さんと俺のことが大好きな渚ちゃんに挟まれて寝るとか、さすがに俺、きついからね⁉

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