第131話 葵さん。待たせてすいません。

「お待たせ〜。」


そう言って玄関から外に出ると、黒に花柄の浴衣を着た美少女が、立っていた。その美少女の名前は

神崎葵。俺の幼馴染にして初恋の人。そして今日、俺の彼女に正式になる予定の人だ。


「も〜‼︎どれだけ待たせるのよ‼︎」


どうやら葵さんはお怒りのようだ。……まあ、(すぐ行く〜』って言われた後、10分間も待たされたらそうなるよね。……でも、これは仕方ないじゃん。楓お姉ちゃんが、花火を見るのにおすすめの場所を教えてくれてたんだから。


「ねえゆうくん。早く行こ?早く行かないと花火見れなくなっちゃうよ?ゆうくん、楓さんにおすすめの場所教えてもらってたんでしょ?」


楓お姉ちゃんの声は大きいので、どうやら外にいる葵にも、話の内容はある程度聞こえていたようだ。

葵はそう言うと、俺の手を握り、急いで歩き出した。普段学校に行く時も、葵とは手を繋いでいるけど今日は少しつなぎ方が違う。いつものように、相手の手を包み込んでいるだけではない。お互いに手を絡ませて、相手の体温を感じ合っている。恥ずかしいけど繋いでいて温かい気持ちになれる。そんな繋ぎ方だった。

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