第132話 いつもより、100倍甘~い綿あめ

お祭り会場についてからも、俺と葵はずっと、恋人つなぎをしていた。くじを引くときも、輪投げをするときも……。


「ねえねえゆうくん‼この綿あめ、すっごくおいしいよ‼なんかいつも食べてる綿あめの、何倍も甘くて……もしかして、ゆうくんと手をつないでいるからなのかな?」


そう言って、俺との距離をさらに詰める葵。いつもと違う葵に、少し戸惑いつつも、好きな人のをもっと近くで感じられるのはとっても嬉しくて……祭りの雰囲気と相まって、俺は夢の世界にいるようだった。


「ゆうくん、これ、すっごくおいしいからゆうくんも食べてみて。」


いつもなら、葵から綿あめを受け取り、自分の手で、自分の口まで運ぶのだが、二人の距離が、物理的にも、近づいたこの祭りでは、葵が『あ~ん。』と言って食べさせてくれた。


「本当だ‼この綿あめ、すっごくおいしいね‼」


この綿あめを買った屋台で使われている砂糖が、ほかのものに比べて甘いのか、それとも葵に食べさせてもらったから、甘い甘い葵との時間を楽しんでいたからこんなにも甘かったのか、俺はわからなかった。

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