第103話 妹好きな、大輝君。

「祐希。お前はいいよな。俺の可愛い妹と、一緒にたくさんの時間を過ごせるんだから。」


教室に入るなり、大輝がそんなことを言ってきた。俺の前に立つ大輝は、涙を浮かべ……ん⁉涙を浮かべてんの⁉たった1日、妹と会えなかっただけで⁉

俺はもう、1年近く妹にあってないんだよ⁉お父さんも、単身赴任中で、10か月くらいはあってないし……。お前、俺と立場が逆だったら、どうなってたんだよ⁉

でもなんか、少しだけかわいそうだな……。


「大輝、もしよかったら今日の放課後、日鞠ちゃんに会いに来る?少しだけなら、全然大丈夫だと思うけど。」


大輝のことを、気の毒に思った俺は、そんな提案をしてみた。……まあ、大輝には普段、お世話になっているしね。


「そ、それがな……。昨日、日鞠に、『お兄ちゃん、私がこの家に、帰ってくるまでは、連絡もしてこないでね‼ゆうき先輩に頼んで、ゆうき先輩の家に上がろうだなんて考えたら、絶対にいけないんだからね‼もし、もしもそんなことしたら……』って言われちゃって。だから、だから俺は、日鞠にあと6日、会えないんだよ~‼」


……いや、それだったら、俺、どうしようもないじゃん。

そう思う、俺であった。

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