第88話 三人で、スワンボート

「3人乗りのボートと、2人乗りのボート、1人乗りのボートの3種類がありますが、どれにしますか?」


スワンボートの乗り場に行くと、担当の人にそう聞かれた。

……まあ、男子2人、女子2人で乗るのが無難だろうな。

そう考えていたのだが……


「俺、1人乗りのボートに乗ります‼︎」


と、大輝が言い出した。

……え?俺、女子2人と一緒に乗るの?

……この狭い空間に、男1、女2の状況で閉じ込められるの?

……追い込まれた状況の中、周りには水とか、

『背水の陣』じゃん。(←絶対違う。)

ちなみに、大輝は、1人乗りのボートに乗るため、

池の方に近づいて行くとき、


「頑張れよ。祐希。」


とかなんとか言っていた。……絶対なんか勘違いしている。


「残りの3人はどうしますか?」


……あ、そうだ‼︎俺も1人で乗ればいいんだ。

そう思った瞬間のことだった。


「私たちは、3人で乗ります。」


と、葵が言ってしまった。

……こうして、3人でスワンボートに乗るという、

なんとも心の休まらない時間が始まったのだった。

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