第87話 葵さん、ウサギに嫉妬⁉

「う~、ず~る~い~‼私も、わたしもゆうくんに、なでなでしてもらいたい‼私もゆうくんに、ご飯を食べさせてもらいたい‼」


と、私の隣で、ゆうきくんに可愛がられるウサギを見ながら言っているのは神崎葵。

私の親友にして恋敵だ。

……これを、本人の前で言えたら、葵は簡単に、ゆうきくんと付き合えると思うんだけどな~。

そんなことを思っても、私はいはない。だって、葵の恋が成就するときは、私が失恋することになるのだから。

……親友が、ウサギに嫉妬している姿を見て、

『情けないな~。たかがウサギなのに。』

とか思っていたが、葵のように、ゆうきくんを観察していると、少しづつ、少しづつ感情が変化してきた。

『私も、あのウサギみたいに、ゆうきくんに可愛がられたい‼』

そんな感情が、突然湧き上がってきたのだ。

いや、だって仕方ないじゃん。幼馴染の葵は、突然抱き着いたりしても、変に思われたりしないけど、私は甘えたり抱き着いたりしたら、絶対、ゆうきくんに、変に思われるもん。

幼馴染って、こういうところは有利だよね。

そう思う、わたしであった。

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