第83話 優香さんの疑問

「ねえ、ゆうきくん。なんで昨日は、長谷川君と、葵と一緒に夕食を食べたの?

……葵と二人っきりとか、長谷川君と二人っきりだったらわかるんだけど……。」


バスの中で、優香さんがそんなことを聞いてきた。俺たちの席は、バスの一番後ろの

三人席。俺の右隣に葵が、左隣に優香さんが座っている。

大輝は……まあ、うん。一人で座っているね。うん。


「えっと……。そもそも昨日は、葵と一緒にご飯を食べる予定だったんだよ。昨日は

二人とも、親の帰りが遅くってさ。」


葵と同棲していることは、誰にもバレてはいけない秘密なので、二人とも、親の帰りが遅かったという設定にした。……まあ、これって、優香さんが、俺か葵の親にあっていると、破綻するのだが、さすがにそんなことはないだろう。

そう思ってこういうことにした。


「そしたらさ、大輝の家も、親の帰りが遅くなっちゃってさ……ご飯を作れない大輝と、大輝の妹さんが、俺の家に夕食を食べに来たってわけ。」


と、大まかに、昨日の出来事を優香さんに説明した。

……それにしても、優香さんはなんで、昨日のことを気にしているんだろう。


「え⁉長谷川君って、妹がいたの⁉どんな子?かわいい子?」


と、優香さんは顔を近づけながら聞いてきた。

……『可愛い』って言いたいけど、そんなこと言ったら、葵が怒りそうだし。

そんなことを考えていると、


「昨日撮った写真があるから、優香、見る?」


と、葵が優香さんに言ってくれた。

その写真は、大輝が帰った後、三人でとったもので……

日鞠ちゃんが、ものすごくかわいく映っているものだった。


「うわ~‼すっごくかわいいじゃん‼ねえねえ、ゆうきくん。葵が提案してきた、

三人での勉強会に、日鞠ちゃんも、呼んでくれない?私、日鞠ちゃんと、仲良くなりたい‼」


そう、優香さんが言ったので、俺はすぐに、日鞠ちゃんに連絡をした。

すると、一秒もたたないうちに、


『私、勉強会に参加したいです‼』


と、日鞠ちゃんから返信が来た。

こうして、勉強会をするメンバーが、一人増えたのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る