「ごめん。ゆうきくんに葵。私、この前伝え忘れちゃって。」

昼食の時、優香さんは、そんな風に謝ってきた。

「別に気にしなくてもいいよ。人間、忘れちゃうことは、誰にでもあるんだし……。」

小テストの結果が、いつも通りだったため、俺は特に、優香さんに怒ってはいなかった。（←結果がいいとは言っていない。）

「うん。そうだよ優香。別に気にしなくても大勝負だよ。アハハ、アハハ。」

うん。どうやら葵は、大丈夫ではないみたいだね。『大丈夫（だいじょうぶ）』のことを、「大勝負（だいしょうぶ）』とか言ってるし。

「なあなあ、四人でテストの点で、勝負をしないか？俺、絶対一位だと思うんだけど。」

葵が、昨日の日鞠ちゃんのように、心ここに在らずといった状況なのに、大輝はとても元気だ。……まあ、昨日の日鞠ちゃんと今の葵は、魂が、どこかに言った理由が、全然違うけど。葵は、マイナスな理由で、日鞠ちゃんは、多分プラスな理由で魂が、

天に昇りかけてたと思うし。

……日鞠ちゃん、別に俺が、気持ち悪いことを言ったから、天に昇りかけてたわけじゃないよね？

ちなみに、大輝の提案は、俺と葵、そして優香さんの反対もあり、『テストの結果を見せあう』といったイベントが、おこることはなかったのだった。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい