第78話 お騒がせして、すみません。
「ゆうき先輩、葵先輩、ご飯をいただいた上に、
迷惑までかけてしまって、すみません。」
玄関で、日鞠ちゃんは、そう言って、謝ってきた。
ちなみに、大輝はというと、ご飯が食べ終わるなり、
『やばい、見たいテレビが始まっちゃう‼︎
祐希、また明日、学校で。神崎さんも‼︎』
と言って、家から飛び出して行ってしまった。
……兄妹で、こんなにも違うことってあるんだな。
「いやいや、元はといえば、俺が変なことを言ったのが原因だし……。」
そう、実際こんな事態になったのは、俺が変なことを言ったのが原因だ。
だから、日鞠ちゃんには、なんの落ち度もないわけで……。
「ゆうき先輩は、すごく優しいですね。本当に今日は、ありがとうございました。しかも、二人に送っていただけるなんて……。本当に、ご迷惑をおかけして、すみません。」
「日鞠ちゃん、そんなに謝らなくても大丈夫だよ。俺たちが、日鞠ちゃんを送ることになったのは、
大輝が勝手に帰っちゃったのが悪いんだし。
それじゃあ、また今度。」
これ以上、なんの落ち度もない日鞠ちゃんが謝ってるところを見るのはかなり厳しい。すっごく、心が痛む。だから俺たちはそういって、帰り始めた。
すると、
「ゆうき先輩、葵先輩、本当に今日は、ありがとうございました。また今度、家に行ったときには、
よろしくお願いします。」
と、日鞠ちゃんは、手を振りながら言ってきた。
「日鞠ちゃ〜ん。いつでも遊びにきてね〜。お泊まりでもなんでも、いつでも大歓迎だから。」
と、葵は手を振り返し、
「こちらこそありがとう。葵のいう通り、いつでも遊びにきていいからな〜。さすがに、くる前に連絡は欲しいけど。」
と、俺もそう言って、日鞠ちゃんに手を振り返した。本当に、本当に楽しい1日だった。
……帰り道、葵が一人、『葵先輩。か……。』とか言って感慨に耽っていたのは、また別の話である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます