第65話 ねえねえゆうくん。どこに行こうか?

「ねえねえゆうくん。ゆうくんは、どこに行きたい?」


三人で、朝食を食べていると、葵がそんなことを聞いてきた。

……『行きたい場所』か。う~ん。特にないんだよな~。

本当に、行きたい場所なんてないんだが、こういう時、

『二人が行きたい場所でいいよ~。』とかいうと、葵を困らせて

しまうので、


「三人で、服を買いに行ったりするのはどう?ほら、ほかの人に、

自分の服を選んでもらったりしたら、面白そうじゃない?」


と、適当に思いついたことを言ってみた。

すると……


「それ、すっごくいいじゃん‼私、男物の服とか、見たことも、選んだこともないから、中島君の服、選んでみたい‼」


と、神保さんが言ってくれた。……適当に、思いついたことを言っただけなのに、

こんなに喜んでもらえるなんて。すごく、すっごくうれしい。

……もしかして、俺って結構、発想力があるんじゃない?


「さすがゆうくん‼すっごく面白そうなこと、考えるじゃん。私、昔から、ゆうくんの服、選んでみたいと思ってたんだよね。……それにしても、服に興味がないゆうくんが、こんな提案をしてくれるなんて。」


うん、葵も喜んでくれたみたいだ。ふぅ~。よかったよかった。二人に喜んでもらえたみたいで。

……ところで、何で二人はさっきから、睨み合っているんですか?

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