第60話 お風呂くらい、一人で入れます‼

「そういえば、中島君。いつ一緒にお風呂に入る~?」


神保さんがこの家に爆弾を投下したのは、午後7時40分のことだった。

この爆弾が落とされるまでは、三人で仲良く、校外学習のことについて話していたのに、神保さんの、あの発言で、空気が一気に変わってしまった。

……いつも校外学習の話に加われない大輝。ご愁傷さまです。


「優香⁉ゆうくんと一緒にお風呂に入るってどういうこと⁉幼馴染の私ですら、小3以降はゆうくんと一緒にお風呂に入っていないのに、なんで優香が、一緒に入ろうとしているの?今日は私が、ゆうくんと一緒にお風呂に入るの‼」


『……あの、俺は、一人でゆっくり、お風呂に入りたいのですが。』

そんなことを、この空気の中で言える人なんていないだろう。

今の俺は、二つのライオンの群れに、同時に狙われてしまったシマウマのような状態。……まあ、俺の場合はシマウマと違って、命を狙われているわけではないから

まだましだけど。


「葵、言ってたよね?『この後のお世話は私に任せる』って。私は、中島君とお風呂に入るために、水着まで持ってきたんだから、今回は私に譲りなさいよ‼」


水着まで持ってくるって……どんだけ本気なんだよ⁉本当に。

俺と一緒にお風呂入るのって、そんなに価値があることなの⁉

……俺は自分が、おさるさんになっちゃうのが心配で、普通に嫌なんだけれど。


結局、二人が話し合った結果、俺と葵と神保さんの三人で、一緒に入ることになった。

……俺の意見は⁉

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