第49話 あの、もうちょっと離れてもらえませんかね?

「ねえねえ、こことか面白そうじゃない?」


俺のパソコンを覗き込みながら、俺の右隣に座っている葵がそんなことを言う。


「え~。こっちの方が面白そうじゃない?」


そう、俺の左隣から話すのは神保さん。

……二人とも、距離が近すぎないですか⁉

この家には、なんとなんと、5つの椅子と、二つのソファーがある。

本当に、なぜだかわからないが、座る場所が、たくさんあるのだ。

……テーブルも、2つあるし。(ちなみに、これはリビングだけの話で、ほかの部屋のも合わせると、椅子は二桁近くに上ると思います。)

まあ、そんなわけで、この家のリビングには、たくさんの椅子があるのに、

葵と神保さんは、なんで俺と同じソファーに座り、膝と膝が、くっついてしまいそうな距離の位置に、座っているのかな⁉

俺のパソコンじゃなくて、自分のスマホで見てほしいんですけど⁉

この状況は、葵以外の女子と、必要最低限以上の話をしない俺にとっては、普通に

きつすぎる……。


「あの、葵さんに神保さん。もうちょっと離れてもらえないでしょうか……?」


百歩譲って、百歩譲って俺と同じパソコンで見るのはいいだろう。……そっちの方が

話しやすいし。でも、でもこんなに近くに集まる必要はないじゃん⁉

俺がパソコンに、顔を近づけたら、お互いの顔と顔が、ぶつかりそうになるような

くらい、近くで話をする必要はないよね⁉


「え~、なんでゆうくんと、離れないといけないの~。私、ゆうくんと離れるの、

すっごくいやなのに。」


と、葵は断り、


「私も、別にこのままでいいと思います。そんなに、距離が近すぎるとは思いませんし。」


と、神保さんも俺の要求を断った。

……なんでそんなに、離れたがらないの⁉

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