第47話 名探偵、神保さん⁉ ①

「お邪魔しま~す。」


そう言って、神保さんが俺たちの家に入ってきた。

……葵の使ってるものは、一応隠しておいたけど、大丈夫かな?

『完璧に隠せた‼』

そう思っていても、意外なところに見落としはあるものだ。

テストの見直しとかも、

『よし‼今回はケアレスミスはない‼』

と、思ったときほど、ケアレスミスが多いし……。

そんな不安を抱きながら、神保さんを家に通した。


「すご~くきれい‼私、友達の家なんて、葵の家しか行ったことがないけど、本当に、大違いだよ‼葵の部屋の、100倍きれい‼……葵の部屋と比べるのは、失礼かな?」


……そんなにきれいかな?机の上に、プリントが散らばっていたり、床にバッグとか、置きっぱなしだけど。

……ていうかこれの100倍汚いとかいう、葵の部屋はどうなってたんだよ⁉まあ、

今もジャングルみたいな部屋に、なってるけど……。


「ちょっと優香‼それはひどくない⁉」


あ、葵が怒ってる。……まあ、あんなこと言われたら、普通怒るよな。

しかも、異性の前で。

俺がもし、同じことを大輝に言われたら、多分ドラム缶の中に入れて、東京湾に沈めてるな……。


「私のあの、ゴミ屋敷を、ゆうくんのお部屋と比べるなんてこと、しちゃだめでしょ⁉ゆうくんに、失礼すぎだよ‼」


……あの~葵さん?あなた今、思いっきり『ゆうくん』とか言っちゃってますけど、学校では今、『中島君』って呼んでません?昔は『祐希』だったし……。さすがに

『ゆうくん』は、まずいんじゃ……。


「ん?『ゆうくん』?」


ほら、神保さんが気にしてるよ⁉

『ゆうくん』って何?って顔して。


「まあ、そんなことはどうでもいいや~。ねえねえ、中島君。手を洗ってきたいんだけど、洗面台って、どこにある?」


ふぅ。よかった~。気にしないでくれたみたいで。


「洗面台はこっちだよ~。」


俺はそう言って、神保さんを、洗面台まで案内した。あんなことになってしまう事を知らずに。

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