第36話 俺の幼馴染、何と漢字を読めないことが判明‼︎

「ねえねえ、ゆうくん。今日の国語の授業で読んだ文章、言っている意味がわからなかったんだけど、教えてくれない?」


夜、寝る準備をしていると、葵がそんなことを言ってきたので、俺は、


「じゃあまずは、もう一回音読してみて‼︎」


と、国語の勉強法がわからない俺は、とりあえずそう言った。小学生の頃、音読をよくさせられたけど、多分あれにも、意味はあったんだろうし。


「タマルハナレル色の瞳。」


……。ナニイッテンノ?アオイさん。

それ、タマルハナレル色じゃなくてルリ色ね、ルリ色。たしかに、瑠璃色って、漢字で書くと、溜まるとか、離れるとかに似てるかもしれないけどさ⁉︎

さすがに題名を間違えちゃダメでしょ⁉︎


「俺は、1人の女の子に恋をした。瑠璃色の瞳を持った幼馴染に。ウイ恋だった。」


……ウイ恋?……あ⁉︎はつこいね、はつこい。

……いや、初恋くらい、普通に読めるでしょ⁉︎

これは絶対、わざとやってんじゃん⁉︎

初恋なんて、小2でも、読むことができるんじゃない?


……その後も葵は、平等なことを、『へいとう』と

言ったり、布石を、『ぬのせき』と言ったり、

高校1年生とは思えない、漢字の読み間違えを、

大量にしたのだった。

……どうやって、高校受験に受かったんだろう。

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