第34話 ねえねえゆうくん、すごくない?私、焦さずに鮭を焼けたよ‼︎

「それじゃあ次は、鮭を焼こうか。」


ここにきて、私が一番大嫌いな料理の工程。

『焼く』が、やってきた。……今まで、何個もの

食材を、炭にしてきた私にとって、にんじんのいちょう切りや、米を洗うことよりも、難しいこと。

それが、『焼く』という行為なのだ。


「ゆうくん。どうしても、焼かないとダメ?」


今まで、数多くの野菜やお菓子を炭に変えてきた私だが、さすがに生きていたものを、炭にするのには抵抗がある。……まあ、野菜も生きていたけど。


「うん。一応これは練習だしな。……心配しなくても大丈夫だよ。葵。俺が近くで教えてあげるから。」


え⁉︎ゆうくんが、近くで⁉︎

……これは、やるしかない‼︎ゆうくんが、私のそばで見ていてくれるならやるしかない。

こうして、私は鮭を炭に変えることになったのだ。

……まだ、決まったわけじゃないけど。


ドバドバドバ

鮭に塩こしょうを振りかけた後、私はフライパンに、油を注いでいた。

う〜ん。どれくらい、入れればいいのかな〜?

私がそう悩みながら、油をフライパンに注いでいると、


「ストップ、ストップ、スト〜ップ」


ゆうくんが、大声をだして、私の行動を止めてきた。

……え?私何かした?ただ単に、油を2センチくらい、注いだだけなのに。

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