第30話 一部だけ、美味しかった、お子様ランチ
「……。」
出来上がった料理を見て、先生は言葉を失っていた。
お皿の上に乗っているのは、麺とソースの比が9:1
くらいになっているミートソース。ボロボロになったプリン、真っ黒に焦げたタコさんウインナー。
などなど、『これを本当に食べるの?』と、思ってしまうような料理が並んでいた。
食べられそうな見た目をしているのは、俺の作ったオムライスと、神保さんの作ったハンバーグだけ。
しかもこの2つの品には、猫の絵まで書かれている。……作ってる途中は、『こうすれば、見栄えが良くなるかな?』とか思って書いたけど、猫の絵なんて、描かなかった方がよかったな。……だって、
大輝と葵の料理が、よりひどく見えちゃうから。
「はい。評価はつけ終わりました。もう、食べても大丈夫ですよ。」
他の班の評価は、2分ほどで終わっていたにもかかわらず、うちの班の評価には、10分ほどかかっていた。……先生、お疲れ様です。そんなことを心の中でいいながら、俺たちの作ったお子様ランチを
食べてみる。
「……美味しい。」
神保さんの作ったハンバーグを食べた俺は、思わずそう言ってしまった。
「ありがとう。中島くん。中島くんの、オムライスも、すっごく美味しいよ‼︎」
俺の言葉を聞いた神保さんは、そう言った。
……よかった。オムライス、うまく作れてたんだ。
初めてだから、上手くいくか不安だったけど、
美味しく作れていて良かった。
……ちなみに、大輝の作ったパスタと、タコさんウインナーは、普通に不味かったです。葵がもりつけたプリンは、すごく食べづらかったし。
そんなわけで、色々と、事件の起きた調理実習が、
終わったのだった。
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