第29話 家庭科の、調理実習。葵の料理(?)は世界一……。

「はい。それでは調理実習を始めます。班で決めたテーマに沿って、1人、一品以上作ってください。全員が、料理を作り終えたら、食べる前に、先生を呼んで、評価してもらってから食べ始めてください。もし、先生が評価する前に食べてしまったら、

減点になりますので、注意してください。」


先生の、長〜い説明が終わり、調理実習が始まった。俺の班のメンバーは、大輝、俺、神保さん、

そして葵だ。料理のテーマは『お子様ランチ』

俺が、冗談で言ったら、採用されてしまった、

という背景を持つこのテーマ。俺がオムライスを

作り、神保さんがハンバーグ。大輝はパスタを作り、葵がプリンを皿に乗せる。

これなら、お子様ランチって言っても、問題なくない⁉︎と、大輝が言ったので、決まってしまったのだが……葵のそれって、料理って言うの?

お皿にプリンを乗せるだけだよね⁉︎

まあ、ともかく、俺たち4人は、『お子様ランチ』を作り始めたのだった。


「なあ、祐希。袋の中に入っているパスタを、

全部茹でたら、すごい量になったんだけど、

どうすればいい?」


「優香‼︎助けて‼︎プリンが、プリンがボロボロになっちゃう〜‼︎」


調理実習が始まって10分後、俺らが料理をしているテーブルは、すごいことになっていた。

大量に茹でられたパスタ。ボロボロになったプリン。真っ黒に焦げたタコさんウインナー。

これらは全て、大輝と、葵によって、生み出されたものたちだ。

……これじゃあ、お子様ランチはお子様ランチでも

お子様に、『提供』されるランチじゃなくて、

お子様が、『調理』したランチじゃん……。

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