第28話 今日も今日とて学校の葵は俺に冷たい

「なあなあ祐希〜、聞いてくれよ〜」


もはや恒例行事と化している

『席に着いた瞬間、大輝が話しかけてくる』

と言うこのイベント。……このイベントが起こったと言うことは。


「あの、朝からうるさいんですけど、中島くん‼︎

次、うるさい声で喋ったら、口を糸で縫わせていただきますね。」


……。

俺、一言も喋ってないんですけど⁉︎うるさい声で

喋ってたのは、俺じゃなくて、大気なんですけど⁉︎

……なんで葵って、学校ではこんなに冷たいのかな?家では、

「ゆうく〜ん。頭、なでなでして〜。」

とか、

「ゆうく〜ん。膝枕して〜。」

とか、

「えへへ〜、ゆうくんと一緒におねんね〜。やった〜。」

とか言ってくれるのに、なんで学校では、

「中島くん。舌を切られたいんですか?」

とか、

「中島くん。後で脳みそを詰め替えといてあげますね‼︎」

とか、

「中島くん。目が腐るから、私の視界に入らないようにしてくださらない?」

とか言ってくるの?学校と、家の温度差、大きすぎじゃない⁉︎


「祐希。お前、何したんだよ、神崎に。中学の頃は、もっと仲良かったじゃん。」


……。俺が怒られたの、お前のせいなんだからな⁉︎

ぼけ〜っとした顔で、そんなことを言う大輝に対して、俺は心の中でそう言った。

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