第27話 今日はとことん、ついてる日?

「なんか今日は、めちゃくちゃ信号に引っかかるな。」


家を出てから30分。ここまで全ての信号に引っかかっている。その数なんと13個。

葵と、長い間手を繋いでいられるので、俺としては

嬉しいかぎりなのだが、ここまで信号に引っかかってしまうと……本当に、

『あなたは、今年の運を、全て使い切りました‼︎』

とか、言われてしまうのではないかと、気になってしまう。 


「ね。たしかに今日は、すっごい信号に引っかかるね。……いつもはこんなことないのに。」


俺だけでなく、やはり葵も、このことを不思議に感じていたようだ。 

……本当に、どうしちゃったんだろう。




やった〜‼︎今回も、無事成功‼︎えっと、学校まで、

残りの信号は14個。残りも全部引っかかって、

ゆうくんと手を繋げる時間を伸ばすぞ〜‼︎


私は、心の中で、そんなことを呟いた。

『13回連続、信号に引っかかる。』

これが、なんの小細工もなしに起こることなんて、

ほぼほぼないだろう。

……だって、13回だよ⁉︎13回。5回とか6回じゃないんだよ⁉︎

もし、これが5回とか6回なら、運が悪いだけかもしれないけど、13回は、『運が悪い』で片付けられる

範疇を超えている。だって実際、私が歩くペースを

変えていなかったら、9回ほど、信号に引っかかっていなかったのだから。 

なぜ、私がわざと信号に引っかかろうとするのか。

それは、冒頭の、心の声でもいったが、ゆうくんと

手を繋げる時間を長くするためだ。

『ゆうくんと手を繋いで登校したい‼︎』

そう言った日から3日がたち、ようやく掴んだこのチャンス。できる限り、長く手を繋いでいたいに

決まってる。……だって、明日は手を繋いで登校できるか、まだわからないわけだし。

また、朝、何かハプニングが起こって、自転車で登校する可能性も、ないとは言えないんだし。

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