第31話 ゆうくんの、お料理教室〜‼︎ 

「あはは〜。この芸人さん面白〜い。」


そんなことを言いながら、呑気にお笑い番組を見ていると、

ガチャン

買い物からゆうくんが帰ってきた。


「ただいま〜。」

「ゆうく〜ん。おかえり〜。」


えへへ〜。なんかこのやりとりって、夫婦っぽくない⁉︎……まあ、私たちは本当の夫婦って言えるのかわからないけど。


「葵〜、一緒に料理を作らないか〜?」


そんなことを考えていると、ゆうくんがそんなことを言ってきた。

……料理?

今、ゆうくん、私に向かって

『一緒に料理しよう‼︎』

って言った⁉︎

この私に?プリンすらまともに、盛り付けられない私に⁉︎


「……ゆうくんと、一緒に料理するっていうのは、すっごく魅力的だけど、私、料理できないよ?」


そう、ゆうくんと一緒に料理するというのは、

私にとって、すっごく魅力的なことだ。

だって、ゆうくんの近くに、合法的にいることが

できるし。

……でも、でも私は、料理のスキルが全くないのだ。去年のバレンタインデー。ゆうくんに、手作りチョコを渡そうとして、お母さんと一緒にハート型のチョコケーキを作ってみたけど、出来上がったのは、でこぼこしたチョコケーキではなく、

でこぼこの炭。

お母さんに、どうしたらこんなものを作れるの?

と、驚かれてしまった。

それほどに、料理が苦手な私に、料理ができるわけがない。だから、断ったのだが、


「……そっか。葵の手作り料理、いつか食べてみたかったのにな……。」


と、ゆうくんが悲しそうな声で言ったので、つい


「わかった。一緒に作ろう‼︎」


と、言ってしまった。

料理スキルが、壊滅的な私と、レストランで出てくるような料理を作れるゆうくん。

危険いっぱい(?)のお料理教室が、幕を開けたのだった。


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