第24話 2人で一緒にアルバムを見て、これまでのことを振り返ろう‼︎ ②
「あ‼︎これは、あの時の写真じゃない?ほら、ゆうくんが、遊園地で泣いちゃった時の。」
『地獄の時間』
そう思っていたアルバムを見る時間だが、楽しそうに過去を振り返る葵のことを見ていると、羞恥心というものを捨てれば、『地獄の時間』というより、『天国の時間』のように思えてくる。
……羞恥心を捨てれば、だけれども。
そんなことを考えていると、
「あ‼︎この写真って‼︎」
と、突然葵が大きな声をあげたので、葵が見ている写真を俺も見てみる。
するとそこには、川に沈んでいく夕日に向かって、
歩いている俺たちの写真があった。
その写真は、なにかのアニメのワンシーンなのではないか?
と思ってしまうほど綺麗だった。
「ねえ、ゆうくん。この時のこと覚えてる?」
葵が俺に、そう聞いた。
……もちろん覚えている。あの日のことは。
だって、俺はあの日があったから、葵のことを好きになったのだから。
あれは、私とゆうくんが小学2年生の時だった。
算数の時間、『九九の暗記テスト』をしたのだが、暗記が苦手な私は、8の段を言い切ることが出来ずに、クラスで唯一、『九九の暗記テスト』で、
不合格になってしまったのだ。
算数の授業が終わると、クラスの男子たちが、私の席の周りに集まってきた。
「なあなあ、かんざきってなんでそんなにバカなの?九九の暗記すらできないって……お前、どんだけバカなんだよ⁉︎」
と、ある男子はいい、
「もうこいつの名前、カバでいいんじゃない?
なんかカバって、バカと似てるし。」
と、1人の男子は言った。
(私、昨日頑張って、勉強したもん‼︎……なんで、
なんでみんなそんなこと言うの⁉︎)
当時の私は、そう思い、教室で、号泣してしまった。
すると、
「お前ら、葵をいじめんなよ‼︎」
そう言って、泣いている私と、私をバカにする男子たちの間に、ゆうきが突然現れた。
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